先日の書籍の続きです。
一般的な認識にメスを入れつつ、戦略の本質に迫る良書です。
筆者の言う戦略の定義、不可欠な要素を第2章まででまとめます。
・長期的に成長する
・成長が「目的」にならない
表向きの低収益率の売上成長に意味なし
・人が苦労して統合の経験を経て可能になる「アート」である
マトリクスに拠るサイエンス思考の批判
・「立地(ポテンシャル面での大きさ・競合がいない点でのユニークさ)」の選択
どの事業(企業)もいつかは必ず廃れることが前提
立地替えを可能にするのは、変化を容易にする機動的企業ドメインの定義
・「構え(オペレーション・垂直統合・多角化・地域展開)」の選択
業界の常識を覆すことで独自の利点を活かす
シナジーの幻想に惑わされない
(技術や資源発想は単純・自明ではないものを追求)
・「均整」をとる(ボトルネックを考慮する)
何かを突出させても、何かに欠陥があれば戦略は機能しない
今書いている論文について示唆を得られました。
自分の論文の方向性は、既存の枠組みにとらわれない新たな解釈を示せているなということです。
自分は多角化戦略の分析を行っているので、かつては「多角化=シナジー」という観点で、既存の各学派に基づくアプローチを無理やりにでも当てはめようと考えていました。
その時抱いていた「無理やり感」という違和感が一つ解消された気がします。
(以前の発表時、講評で「おれはシナジーって言うのはあんまり好きじゃないんだ」と言ってくれた他ゼミの先生のお言葉、今となっては胸に染みて効いてくる感じがあるな・・・。)
やはり、戦略の本質は「常識を覆すこと・自明でないこと」にあると感じます。これは、優れた企業の事例として、今研究している対象にも言えることです。まさに、他人がやらないことをしています。
「立地」の選定では、決して「人が行かないところに行けばいい」という奇をてらった発想ではなく、明確なロジック、しかもその企業が地域密着的に経営をしてきたからこそ気づけた視点で見事に業界にあった立地選定の常識を覆しています。
多角化に関しても、単純な資源ベースのシナジーではなく、戦略的にシナジーを起こすこと(つまり、ある事業で優位に立つためにある事業を起こし、その資源を活かす)をやっています。まあ、これは「経営戦略の論理」の伊丹さんが言う「ダイナミックシナジー」に近いことだと思います。
こういった優れた事例、決して同じことを私たちが現場でやればよいということにはもちろんならないですが、こういう事例を研究することによって、一つの戦略を策定する立場の者が持つべきスタンスは見えてきます。それが、やはり三品さんが言う戦略の本質部分に近いなと感じました。
③につづく