前ブログの続き。

 

フェリー港のある本村集落から

クルマを走らせること十数分、

お世話になる宿が建つ

田代集落に到着しました。

集落とはいっても、現在は

この民宿「くちのえらぶ」があるだけで、

まさしくぽつんと一軒家状態。

でも実際に中にお邪魔すると、

満員御礼でどの部屋も埋まっており、

出発直前に予約をした私は、

十人以上寝泊まりできるような

臨時の大部屋に案内されました。

だだっ広い板張りの部屋の片隅に

荷物を一旦置いて、

まずは食堂兼大広間に行ってみることに。

かつて、オーナー夫妻が

自分たちで築いたという

木のぬくもりが伝わる大広間からは、

自慢の眺望が見晴らせ、

広いテラスやソファが特等席。

海の彼方に目をやれば、

青い島影がくっきり。

宿のリピーターだという先客が、

あの島は硫黄島

と教えてくれました。

旅情を掻き立てられる景観に

しばし見惚れていると

いつの間にか

愛嬌たっぷりのねこさんが特等席に鎮座。

さらに、その向こうの広場には、

ヤクシカの姿も確認。

自然が宝庫の口永良部島は、

他にも野生のヤギやウシ、

国の天然記念物、エラブオオコウモリも

生息していて、探しに行かなくても

その辺でふつうに見られるらしい。

島情報をキャッチした後は、

部屋に戻って

たまりまくっている仕事を地道に

こなしていたら、

 

晩ご飯ですよー

 

と大広間から声がかかり、

一目散に駆けつけました。

食卓にならんだ料理や食器は

めっちゃアットホームな雰囲気で、

なんかホッとする。これが民宿の良さ。

隣に座ったのは、

先ほど島情報を教えてくれた人で、

お互い話が好き同士、

初対面だというのに盛り上がり、

国内外のいろんなトークに花を咲かせたのでした。

この島のリピーターになる理由を伺ったところ、

温泉が最高

と一言。

仕事で出会った島民も

温泉を自慢してたっけ。

 

ならばと、

ひとっ風呂浴びに行きたいところだが、

仕事を抱えた身につき

それは叶わぬ夢。

潮騒をBGMに

乳白色の温泉に浸かる様子を思い描きつつ、

その夜は、

柚子の香りのする入浴剤を投入した

民宿のお風呂に浸かりました。

 

真夜中、

何かの気配がしたからか、

ふと目覚め、

外を覗いてみると、

ヤクシカさんが。

数匹いたので、

家族で遊びに来ていたようです。

これがクマだったら

慌てふためくけれど、

口永良部にはクマはいないので一安心。

 

のんびり動く彼らを目で追ってるうちに

睡魔が押し寄せてきて

ふたたび朝まで眠りにつきました。

 

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