『ホビット/決戦のゆくえ』感想。美学に貫かれたファンタジー巨篇の完成。 | まじさんの映画自由研究帳

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ああ、ついにシリーズが終わってしまった!できることならもっと長く、中つ国の世界に浸っていたかった。

しかし!この作品は、まさにシリーズの完結篇にふさわしい、全編クライマックス!

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前作で鳴り物入りで出てきたスマウグを、アッサリ倒してしまうが、スマウグの重要なシーンは、前作でほとんど終えている。この事からも、このシリーズが、三作通して、一つの作品に仕上げている事がわかる。
コレが『スターウォーズ』なら、前作でスマウグ倒してハッピーエンドとなった筈だ。

今回の主題は、スマウグ亡き後の、中つ国情勢と、ドワーフの王となったトーリンの変貌である。
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「金は心を変える」

あんなに仲の良かった仲間を裏切り者と疑う、別人のような心変わりをしてしまう。
まるでサウロンに魅入られた者のように、富に執着し、猜疑心が芽生える。トーリンは、ゴンドールの執政デネソールの様に、心に闇に染まってしまうのか、ローハンの王セオデンのように更生するのか、とても不安にさせられた。だが、彼の大きな違いはサウロンに魅入られている訳ではない。よって、ガンダルフの魔法に頼らず、仲間の友情に支えられ、自らの力で克服する事に、大きな意味を持っている。心の闇は、誰にでも、いつでも襲って来る。それに打ち勝つのは魔法ではなく、それに気付かせてくれる仲間と、自分を変える力だという事をよく描いている。ビルボの機転と友情は、思わず胸に熱いモノがこみ上げた。

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また、悪役のアゾクが凄い。オークのクセになかなかの策士である。三菱重工業も真っ青の、デューンなシールド工法掘削生物で奇襲をかけるとは、なかなかやりますね。その上、勢力を分断させる攻撃とか、戦いの天才っぷりを発揮してる。敵ながら天晴れだ。時系列的に後の筈の『ロード・オブ・ザ・リング』のオークよりも、賢いんじゃないかと思ってしまう。

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レゴラス様のアメイジングなバトルも華麗過ぎてヤバイ!流れるような身のこなしで、落石を蹴って駆け上がる軽快さには、思わず息を飲む。そんな彼と互角に戦うボルグもさる事ながら、見事な一戦を見せてくれる。

それにしても、このシリーズのエルフ軍のカッコよさと来たら、もうっ!
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黄金の甲冑はもとより、あの士気の高い一糸乱れぬ動きには、敬服せざるを得ない。ドワーフ軍の防御陣形を飛び越えた瞬間、余りの美しさに思わず涙が出てしまった!

このシリーズの楽しみ方のひとつは、寸分の隙のない美術だろう。エルフの甲冑もそうだが、全ての衣装や小道具に至るまで、徹底した美学に貫かれている。
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エルフの王がヘラジカに乗るのも実に優雅に見えるのだが、コレが先頭となると、その大きなツノが脅威的な働きを見せて、その実用性に説得力を持つ。
ドワーフの髭飾りなんかも素晴らしい。髭をステータスシンボルとした、彼らの文化を推して知る事ができる。
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ドワーフ軍の無骨な甲冑も、鋼鉄の猪の様に見える強靭なデザインとなっている。動く美術品を見ているような映像も堪能した。

前作のフロドの旅は、迷いの旅だった。何度もダークサイドの誘惑に駆られる。それを知っているからこそ、ビルボの行動が、我々を心配させる瞬間をうまく見せている。
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アーケン石を巡るエピソードでは、それがとても良く作用していた。
このシリーズもこれで完成を見た訳だが、全6作を、見事なクォリティで完成させてくれた。素直に拍手を贈りたい。

このシリーズの尺はいつも長い。だが、無駄に長い訳ではなく、必要な長さなのである。旅とは常に長いものだ。それを体験させてくれる長さでなくてはならない。
前作の『ロード・オブ・ザ・リング』は、全て公開時に劇場で見ているが、スーパー・エクステンデッド・エディションも全てスクリーンで見た。述べ11時間21分の大作だ。
一週間毎の連続上映だったので、3週間で鑑賞した訳だが、映画館に行けば中つ国の冒険ができると、心躍らせて足を運んだものだ。
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今後もきっと『ホビット』のスーパー・エクステンデッド・エディションの連続上映をしてくれる映画館があるに違いない。次回、中つ国に訪問するのはその時だろう。