> 引き続き僭越ながらコメントさせていただきます。

>単なる打ち間違いかもしれませんが、「行政国家現象」 と書くべきではないでしょうか。
> また、「認めるべきである」 は表現として強すぎる気がします。本来は国会だけで立法をするのが原則形態ですから、「認める必要性がある」 程度のほうが良いかと思います。まあ、厳密に考えると意味としては似たようなものですが、感じ方が違いますので。

 「行政国家現象」は、おそらく本番でもこのように書いたとおもいます。細かいところまで気を配らないとだめですね。
 「認めるべきである」という表現については、おそらくこういうちょっとした表現にも、統治についての理解とか、論理力がにじみ出るんでしょうね。こういうところは、とてもためになります。


> なぜ提出を認めることが独立に反するのか、という理由が必要かと思います (下の方に 「政治部門と不可避的な関わり」 と書いてはあるのですが、問題提起の時点で問題が見えないのは読み手としては戸惑います)。

 このへんですよね。「司法権の独立の確保」のために最高裁の法案提出権を否定的に考えるのは、あんまり適切でないと思っていたのですが、そうでなく、その事を説得的に書けなかったっていうことも反省しなければ、と今は思います。


> 確かにそうかもしれませんが、この問題で 「個々の裁判官」 を持ち出す必要があるでしょうか。それを言うなら、最高裁の規則制定権も個々の裁判官の職権行使の独立を害してしまいますね。確かに究極的には個々の裁判官に行き着くにしても、この問題では機関相互のバランスを論じれば必要十分ではないでしょうか。個人的には3(2)はいらないように思います。

「司法権の独立」を説明しようとする余り、設問とは関係が遠いことを書いてしまった気がします。「司法権の独立の確保」のためにどうして「最高裁の法案提出」を否定的に解するのか、じっくり構成しないままに書いたため、行き当たりばったりの、答案になってしまったんだと思います。


> 規則制定権が与えられているのに、どうしてさらに法律案の提出権を認める 「必要」 があると思えるのか、理由がありません。「認めても問題ないとも思える」 程度にすべきかと。(あとで否定するにしても読んでいると 「えっ、必要だと思っているのか!?」 と驚いてしまいます)

ここは、再現を自分で見て、混乱してるな、とおもいました。あとで読み返して、なんでこんな事書いたんだろう、と恥ずかしくなります…


> 規則制定権と同じ内容であるという点は、「必要性」 ではなく 「許容性」 として使った方が自然な気がします。

そうですね、具体的事情を逆方向に使ってしまった様です。


> 内容は良いと思うのですが、問題提起に必要なそもそもの問題がやっと出てきたような感じがします。しかも、この後に 「したがって、76条3項に反する」 と結論を書くことなしに 「また、内閣の~」 と別の話を続けてしまうのも唐突なのではないでしょうか。

答案を書いていて、だんだん焦点が定まってきた、というのが実感でした。


> でも、これだと G という感じはしませんね。やはり第1問が大きかったのではないかと思います。
 とりあえず、憲法についてコメントさせていただきました。不快な面があれば申し訳ありません。反論があれば大歓迎です。よろしくお願いします。

くらげさんコメントありがとうございました。
勉強になります。


 
> まず、「酒類販売業者」、というのは問題があります。もちろん間接的に関わってはくるのでしょうけれど、直接的には 「飲食店」 が規制対象ですね。
 さらに、論理の流れに微妙な問題があるように思います。
 「販売の自由は営業の自由として保障される。なぜなら~」 ときたら、論理の流れとしては、販売の自由が営業の自由に含まれる理由を説明する必要があります。しかし、「販売の自由が保障される」 という話が 「なぜなら」の後で突然 「営業の自由が保障される」 という話にすり替わっています。端的に 「販売の自由は営業の自由に含まれる。」 と記して、「営業の自由が保障されるか」 という問題提起にすべきではないでしょうか。

規制対象の点、販売の自由と営業の自由の点については、自分でも詰めが甘いな、と感じていました。

> 憲法で保障される人権を制限する以上、憲法上の根拠条文を書くべきではないでしょうか。

公共の福祉、根拠条文を書くのは基本ですね…

> 明白性の基準の場合は名前になっているくらいですから「明白」がポイントと思いますが、「すなわち」以下に「明白」の説明がないのが気になります。判断するために 「手段として合理性がある」ことが必要ということは、国側が「合理性」を立証すべきということになりますね。

明白性の基準の所は、僕が書いたのは、明白性の基準ではないですね。『当該規制素地が著しく不合理である事の明白である場合に限って違憲とする』ということですから。それを書かないとダメですよね。

>  1(2) ウにおいて、「周囲のものに迷惑を及ぼすことを防止する、という点に着目すると、国民の身体財産の保護のための消極目的な規制であるとも思える。」 とお書きになっていますが、ここで「周囲のものに迷惑を及ぼすことを防止する・・・目的は福祉国家の理念(25条)」 というのは矛盾ではないでしょうか。

問題文も事情をできる限り拾おうとして、矛盾した記述をしてしまった様です。

> 完全に防止できない理由を書かないと、読む側としては 「なんで?」 となってしまいますね。たとえば 「規制しても」 と 「周囲の」 の間に 「酒販店等で買って路上で飲めば迷惑となるので」 と書けば、ある程度の理由付けにはなるかもしれません (それが妥当な理由かは微妙ですが)。
 さらに、法律の成果として「完全に防止」する必要もないでしょう (路上喫煙禁止条例ができても現実的に 「完全に防止」 は難しいように)。
 また、「実質的な合理的関連性」 という抽象的なフレーズの 「実質的」 をどういう意味に捉えているのかを、基準として使える程度に具体的に示すべきかと思います (「他に代替手段がないか」 など)。

このへんについては、当てはめをしっかり練らずに書いたため焦点がぼやけたのだと思います。

> 続いて、小問2。
 ここが最大の難点かと思います。おそらく問題文の読み違いをされたのですね (私もかつて憲法の読み落としで痛い目に遭ったことがあります)。たとえば「花見」や「公園での酒盛り」を禁止する話ですので、営業は出てこないはずです。

そうなんです。
再現をしたのは試験直後で、気付かなかったのですが。
いま冷静に問題文をみると僕の答案の流れは絶対に出てこないですね。

> 以上です。「マゾ」さんということで、遠慮無く書かせていただきました。私はマゾではありませんが、反論していただけると勉強になり有り難いです。また、記事の掲載自体に問題があれば速やかに訂正・削除しますので、ご連絡ください。

反論というか、今でも僕が分からないのは、法律の制定目的をどのように評価し、答案に表現するべきであったか。あるいは、割り切って、法律の制定目的の評価をせずに答案を書くべきなのかということです。
問題文には、法律の制定目的として
1,飲酒者自身の健康面に与える影響が大きい
2,酩酊者の行為が周囲の者に迷惑を及ぼす
3,種々の社会的費用も生じる
と言う点をあげてます。
これらをどう評価すれば良いのか、現場で迷いました。
今になっておもえば、これらの目的は積極、消極いずれともつかない、とした上で、規制態様による審査基準の設定のはなしに持っていけばよかったのかと思ってます。
どうでしょうか

民事訴訟法第二問
1 小問1について
 (1) 前訴審判対象は何か
     →前訴の判決確定の効力
     =既判力の客観的範囲(114条1項)
     114条1項の趣旨
     =当事者意思の尊重
      審理の硬直化を避ける
     →主文について既判力が生じる
     本問では
     ・口頭弁論終結時
     ・甲の乙に対する引渡請求権の存在 
(2) 後訴における審理判断の対象となる事項
     前訴の口頭弁論終結時以降において
     甲所有
     乙占有
     という事実の有無
     について、審理判断の対象となる          
2 小問2について 
 (1) 前訴審判対象は何か
     ・口頭弁論終結時
     ・甲の乙に対する引渡請求権の存在 
     →判決理由中の判断には生じない(114条1項)
     →理由中の判断については信義則による遮断が     
(2) 後訴における審理判断の対象となる事項
     前訴の口頭弁論終結後以降において
     乙所有
     甲占有
     という事実の有無について審理判決の対象となる
     ・前訴の判断については信義則による遮断
3 小問3について
 (1) 前訴審判対象は何か
     ・口頭弁論終結時
     ・甲の乙に対する引渡請求権の存在 
     →判決理由中の判断には生じない(114条1項)
     →理由中の判断については信義則による遮断が     
 (2) 後訴における審理判断の対象となる事項
    ア 主観的範囲について
      原則;当事者(115条1項1号)
      ∵ 手続き保障・自己責任
      例外;115条1項2号~3号
      ∵ 紛争解決・手続き保障の代替 
     →本問2号「承継人」
      適格承継説
      =本問では丙に既判力及ぶ
イ・前訴
 口頭弁論終結時において、
  甲→乙 
  所有権に基づく返還請求権の不存在について既判力生じる
     ・後訴では
基準時以降において 
  甲所有
  丙占有の事実の有無が審理判決の対象事項となる
以 上 
民事訴訟法第一問
1 攻撃防禦方法とは
  
2(1) 第一審と控訴審の関係は続審性
控訴審における攻撃防禦方法の提出は弁論主義のもと自由
それに関する民事訴訟法の規律
適時提出(156条)
却下(297条、157条)
提出期間の制限(301条)
 (2) その背景にある考え方 
     控訴審における進級の利益の確保の必要性
3 以上をまとめると


刑訴については、とにかく判例の事案を思い出して
判例にしたがって処理をする事、
条文をしっかり引用する事を心掛けました。

第1問は、もろに、おとり捜査として構成しています。
第2問では、弾劾証拠についても書いてしまいましたが
これは全くいらない様です。

これでもAはとれるみたいです。

刑訴に関しては、
判例の理解、射程を確実に押さえる事、その際には
論理を忘れずに。
条文の意味、条文の文言の定義を押さえる事。
問題文の検討を緻密にする事、
をこれからも、心掛けなければ。
刑事訴訟法第二問
1 本問において、ビデオテープを証拠として採用するのは、実質証拠として使用する場
合と、弾劾証拠として使用する場合が考えられるため、以下、それぞれに分けて論じる。
2 実質証拠として使用する場合
 (1) 本問において、ビデオテープを実質証拠として使用するには、証拠裁判主義の下、①自然的関連性②法的関連性が認められ、③証拠禁止にあたらないものである必要がある(317条)。本問では、①自然的関連性と、②法的関連性の有無が問題となるため、以下各々について検討する。
 (2) まず、①自然的関連性とは、必要最小限度の証明力を有することを言う。ビデオテープは、対象物を光学的な方法により、映像として正確に保存することができることから、最小限度の証明力があるといえる。よって、本問のビデオテープには①自然的関連性が認められる。 
(3)ア 次に、類型的に誤判を導く恐れがある証拠は、②法的関連性を欠くものとして、証拠能力が否定される。本問のビデオテープは伝聞証拠(320条)として
     証拠能力が否定されないか、伝聞証拠に当たるか否かが問題となる。
      この点については、伝聞証拠が証拠能力を否定されるのは、知覚・記憶・表現・叙述の過程を経ていることから各過程に誤りが混入する虞がある。そこで反対尋問(憲法37条2項、法308条)により、その誤りを正す必要があるが、伝聞証拠に対しては反対尋問をすることができないことから、証拠能力が否定されるのである。
      本問のビデオテープは反対尋問を欠くものであることから、伝聞証拠にあたるといえる。
    イ このように、伝聞証拠にあたるとしても、証拠とする必要性と、状況的信用性が認められる場合には伝聞例外(321条以下)として、証拠能力が認められる。
     本問のビデオテープは伝聞例外に当たるか。
      本問のビデオテープは被告人甲が「現場付近にいた」ということを証明するものであり、「被告人に不利益な事実」を承認する内容のものであるといえる。そこで322条1項による伝聞例外として、証拠能力が認められるものと解する。そして、同条において「被告人の署名」「押印」を必要とするのは、供述内容の正確性を担保するためのものであり、ビデオテープは内容を正確に保存する門であることからすると、「署名」「押印」は不要であると解する。
      以上より、本問のビデオテープは322条1項の伝聞例外として、証拠能力が認められる。
(4) そうであるとしても、本問のビデオテープはインタビューを「録画」したものである。このような、写しは、証拠能力が認められないのではないか、写しの証拠能力の有無が問題となる。
    思うに、写しには、作成者の意図が混入する虞があることから、証拠能力を認めるに当たっては、慎重に判断するべきである。すなわち、①原本を正確に写したものであり、②原本の提出が困難な場合に、③写しが正確に作成されていることの証言がある場合に、証拠能力を認めるべきであると解する。
    本問のビデオテープについても、かかる事情が認められるならば、証拠能力が認められるものと解する。
(5) 以上より、本問のビデオテープについて写しであることについて上記①②③の証明がある場合には、証拠能力が認められる。 
  そこでかかる場合には、証拠能力が認められることから(317条)実質証拠として採用することができる。
3 弾劾証拠として使用する場合
 (1) 本問におけるビデオテープを弾劾証拠(328条)として採用することができるか、
弾劾証拠とすることができる「証拠」の意味が問題となる。
 (2) 思うに、弾劾証拠は同一人の証言について矛盾する内容の証言が存在することにより、証拠の証明力を争うものである。そこで、弾劾証拠とすることができるのは、同一人の証言に限られるものと解する。
     また、「争う」とは、証明力を減殺するためのほか、減殺された証明力を増強するための証拠も含むものと解する。
(3) 以上を本問についてみると、本問のビデオテープは、甲がテレビ局のインタビューを受けた際に「現場付近にいた」ことを内容とするものである。そして、かかるビデオテープを、甲の「犯行現場には行ったこともない」、との捜査、公判段階での供述の証明力を減殺するために用いることは「供述の証明力を争う」証拠であるといえる。よって、本問のビデオテープは弾劾証拠として採用することができる(328条)。
以 上
刑事訴訟法第一問
1 本問において、Aは甲を通常逮捕した後に①携帯電話を差押えて、②甲の携帯電話を
捜査し、内容を精査した上で、メールに記載した場所に赴き③甲を名乗って乙を逮捕している。以下、これらのAの行為について適法か否かを判断する。
2 携帯電話を差押えた行為について
 (1)ア 本問でAは、甲の携帯電話を無令状で差し押さえている。携帯電話の差押は、強制処分法定主義(憲法35条、218条1項)の下、令状を得て行うのが原則である。本問の無令状の差押は、逮捕に伴う差押(220条1項2号)として適法とならないか。甲を「覚せい剤譲渡の被疑者として通常逮捕」した際に、携帯電話を差し押さえることができるか、逮捕に伴う捜索差押ができる物的範囲について、条文上明らかでないことから問題となる。
    イ 思うに、逮捕に伴う無令状での捜索差押が許される趣旨は、逮捕の「現場」
においては当該犯罪についての証拠が存在する蓋然性が高いからである。そこで、逮捕の際には、逮捕の令状(200条)に記載されている犯罪の証拠について
差し押さえることができるものと解する。
    ウ 以上を本問についてみると、Aは甲を「覚せい剤譲渡」の被疑者として通常逮捕していることから、「覚せい剤譲渡」についての証拠について差し押さえることができると解する。そして、「覚せい剤譲渡」という犯罪は密行性が高いことから、携帯電話により犯罪の連絡が取られることが考えられる。そうであるとすれば携帯電話には当該犯罪の証拠が存在する蓋然性が高いといえる。よって、本問のAが携帯電話を差し押さえる行為は、逮捕に伴う捜索差押(220条1項2号)として適法である。
 (2)ア しかし、Aは、甲の携帯電話について内容を確認することなく差し押さえて
いる。携帯電話には、当該犯罪の情報のほかにも、さまざまな情報が含まれて
いる。そこで、逮捕に伴う捜索差押(220条1項2号)として内容を確認せず
に差し押さえる包括的な差押は許されるか、条文上明らかでなく問題となる。
    イ この点については、被疑者に対する捜索差押はプライバシー侵害の程度が高い行為である。特に、内容を確認せずに差し押さえる包括的な差押は、一般的、探索的な捜査により人権侵害を生じる可能性が高いことから、原則として許すべきではない。
      しかし、証拠物件を差し押さえる場合に包括的差押をしなければ、証拠破壊されるおそれがある。そこで、①当該犯罪の証拠が存在する蓋然性が高く、②証拠破壊のおそれがある場合に、③相当な範囲で、包括的な差押が許されるものと解する。
    ウ 以上を本問についてみると、携帯電話は覚せい剤犯罪の手段に使われている          
     と予測されることから①当該犯罪の証拠が存在する蓋然性が高いといえる。また、携帯電話は大きいものではなく、踏み潰すなどして即座に破壊できることから②証拠破壊のおそれがある場合に当たる。さらに、携帯電話のみを差し押さえることは、③相当な範囲での差し押さえといえる。
 よって、本問における逮捕に伴う捜索差押(220条1項2号)として内容を
確認せずに差し押さえる包括的な差押えは、許されるものと解する。
3 携帯電話を操作し内容を精査した行為について
 (1) 本問でAは、差し押さえた甲の携帯電話を「無令状」で「操作」し「そのメモリーの内容を精査」している。かかる行為は許されるか、明文がなく問題となる。
 (2) 思うに、逮捕に伴う捜索、差押が許されたのはかかる場合には、犯罪の証拠物  
    が存在する蓋然性が高いからである。そして、差し押さえた物件に犯罪の証拠が存在するか否かを確かめる必要がある。そこで、差し押さえた物件について、犯罪の情報が存在するか否かを確認するために内容を確認するために必要な行為は、「必要な処分」(222条、111条1項)として許されるものと解する。
(3)  以上を本問についてみると、本問の携帯電話には犯罪の情報のほか、甲のプライバシーに関する情報も含まれていると解される。そこで、かかる情報が存在するか否かを確認するために携帯電話を「操作」し、「そのメモリーの内容を精査」する行為は「必要な処分」(222条、111条1項)として許される。
4 甲を名乗って乙を逮捕した行為について
 (1) 本問でAは、乙を「覚せい剤所持」の容疑で現行犯逮捕(212条1項)している
が、かかる逮捕はAが甲と名乗ったことに引き続いて乙がAを甲と誤認して、覚せい剤を差し出したところを逮捕したものである。そして、Aが甲と名乗った行為が、違法であれば、司法の廉潔性確保、適正手続(憲法31条)の点から、それに引き続いてなされた逮捕は違法となる。
 (2)ア それでは、本問のよう他人の名を名乗ってそれに引き続き逮捕する行為が許
されるか、捜査機関が犯罪を作り出すといえることから、おとり捜査の適法性       
が問題となる。
    イ まず、おとり捜査が強制捜査に当たるとすれば、法定の手続きによらなけれ
     ば許されない。ここに、強制捜査とは、意思に反して被疑者の重要な権利を制約する捜査方法のことである。おとり捜査は、何ら被疑者の意思に反して重要な権利を制約する捜査方法であるとはいえず、任意捜査であると解する。
      任意捜査であるとしても、適正手続き(憲法31条)の確保のため、一定の制約が存在する。具体的には、①何ら犯罪を実行する意思を有していない者に対して犯罪を実行する決意を生じさせる犯意誘発型のおとり捜査は、捜査機関が犯罪を作り出すものと言え、違法であると解する。一方、②既に犯罪の意思を有しているものに対して犯罪を実行する機会を提供する機械提供型のおとり捜査は、適法であると解する。ただし、捜査機関から、常軌を逸するような働きかけが為されたばあいには、違法であると解する。
    ウ 以上を本問についてみると、本問では甲と乙の間で既に覚せい剤の譲渡の約束がなされており、それに対してAが犯罪を実行する機会を提供しただけである。かかるおとり捜査は、②機械提供型のおとり捜査として適法であるといえる。
 (3) そして、適法に為されたおとり捜査に引き続いて乙が「覚せい剤を差出し」ており、「現に罪を行」った者であるといえる(212条1項)。よって、本問でAが、甲と名乗ったことに引き続いて乙がAを甲と誤認して、覚せい剤を差し出したところを逮捕した行為は、適法である。
以 上
刑法は、Aでした。
刑法については、
1、Tb→Rw→Sという形を遵守する
2、条文の文言を解釈して当てはめる
3、保護法益に触れる
と言う事を淡々とやりました。

第2問で賄賂約束、収受と二つをわけて書いてしまい、
後悔したのですが、なんとかAのようです。

刑法は、混乱しそうになり、本番でも第2問で丙の
罪責を、最後になってばっさり書き直したので、
構成をしっかりする事、混乱せずに処理する事を
心掛けなければ。
刑法第二問
1 丙の罪責について
(1) 丙は、使者を介して乙に80万円を届けている。かかる行為について、贈賄罪
(198条)の成否が問題となる。
(2) しかし、以下に検討するように、乙に収賄罪は成立しない。そこで、丙に
は贈賄罪は成立しない。
2 甲の罪責について
(1) 甲はB市総務部長である乙に対して「80万円を届け」る旨、約束している。
そこでかかる行為について、贈賄の約束罪(198条)が成立しないか。
 思うに収賄罪の保護法益は、公務員の職務の公正と、これに対する一般の信頼である。
そこで、「職務に関して」とは職務行為そのもののほか、職務に密接に関連する行為も含む
ものと解する。
 以上を本問についてみると、乙はB市の総務部長として「広報誌の印刷発注」に
従事しており、職務行為そのものである。そこで「職務に関して」賄賂の約束を
したといえ、甲には贈賄約束罪(197条)が成立する。  
  (2)ア 次に、甲は上記の約束に応じて、丙に80万円を届けさせている。
そこで、かかる行為について贈賄罪(198条)の間接正犯が成立しないか。間接正犯の
成立要件について、明文がないため、問題となる。
     イ 思うに、間接正犯も自己の犯罪意思を実現する、正犯のひとつで
あることから固有の正犯性を有しているか否か、という点から成立要件を判断するべ
きである。具体的には、①他人を自己の犯罪意思実現の道具として利用する
意思の下、②一方的に利用支配して、構成要件行為の一部を実現した場合に
は、間接正犯が成立するものと解する。
ウ 以上を本問についてみると、甲は、丙の金を自己のために乙に渡すこと
を考えていることから、①他人を自己の犯罪意思実現の道具として利用する
意思がみとめられる。
次に丙は「道路工事の発注に際して便宜を図ってくれる」と信じて80万円
を届けさせていることから、②一方的に利用支配して、構成要件行為の一部
を実現したといえない、とも思える。
 しかし、丙は、甲のために80万円を届けているという認識はなく、甲の為
に80万円を届けている点において、規範的障害を欠き一方的な利用支配が
みとめられる。よって、甲は丙の行為について②一方的に利用支配して、構
成要件行為の一部を実現したといえる。
以上より、甲には贈賄罪(198条)の間接正犯が成立する。
  (3)ア 次に甲は丙に対して「道路工事の発注に際して便宜を図ってくれるはずだ」
との虚偽の事実を告げ、乙に対して80万円を届けさせている。かかる行為について
詐欺利得罪(246条2項)が成立しないか。
     イ 本問では、甲が「道路工事の発注に際して便宜を図ってくれるはずだ」と 
      の虚偽の事実を告げる詐欺により丙は錯誤に陥り、乙に80万円を交付している。
これにより、甲は80万円を届けることを逃れており、財産上の利得があるといえる。
この点について、80万円は不法原因給付にあたり民法上返還請求権が無く(民法708条)、
丙には損失が無いとも思える。しかし取引の安全を図る民法と、法益保護を目的とする
刑法とでは損害概念について別異に考えるべきである。そこで、損害も認められる。
     ウ 以上より、甲には詐欺利得罪(246条2項)が成立する。
  (4)ア 更に甲は、80万円の弁済を求めてきた丙に対して、「80万円を渡して
A県の道路工事を受注しようとしたことを公表するぞ」と申し向け、請求を断念させている。
かかる行為について2項恐喝罪(249条2項)が成立しないか。甲は、贈賄に当たる行為の
事実を告げているが、かかる適法行為を告げることが「恐喝」といえるか、明らかでなく
問題となる。
     イ 思うに、恐喝罪の保護法益は個人の財産権及び、その行使の自由を保障
するものである。そして、「恐喝」は相手方の意思を抑圧して財物を交付させあるいは
財産上の利益を得る行為であることから適法行為を告げることによっても可能である。
よって、適法行為を告げる行為も「恐喝」に当たるものと解する。
     ウ 以上を本問についてみると、甲は80万円の弁済を求めてきた丙に対して、
「80万円を渡してA県の道路工事を受注しようとしたことを公表するぞ」と申し向け、
請求を断念させていることから、「恐喝」により、財産上の利得を得たといえる。よって
甲に2項恐喝罪が成立する。
(4) 以上より、本問では甲に①贈賄約束罪、②贈賄罪、③詐欺利得罪、④2項恐喝
  罪が成立し、①と②は同一の法益に対する一連の行為であり②のみ成立する。これ     
  と③、④とが併合罪(45条前段)となる。
3 乙の罪責について
(1) 乙は、甲の贈賄の申し出を受けていることから、収賄約束罪(197条)が成立す
  る。
(2) 次に、甲は丙から80万円を受け取っている。かかる行為について、甲との間  
   における収賄罪(197条)が成立する。
(3)ア さらに、乙が丙から80万円を受け取った行為について、丙との間における収
賄罪が成立しないか。
    イ 思うに収賄罪の保護法益は、公務員の職務の公正と、これに対する一般の信  
     頼である。そこで、「職務に関して」とは職務行為そのもののほか、職務に密接
に関連する行為も含むものと解する。
   ウ 以上を本問についてみると、乙は「B市」の「総務部長」である。これに対
して、丙はA県発注の道路工事について受注することを考えている。このよう
な「A県」の「道路工事」については乙は何ら権限を有しておらず、職務行為と言えないこと
はもちろん、職務に密接に関連する行為であるとも言えない。よって、丙との間においては、
「職務に関して」賄賂を収受したといえず、収賄罪は成立しない。
(5) 以上より乙には①収賄約束罪、②収賄罪が成立し、両罪は同一の法益に向け
られた一連の行為であるといえ②のみ成立する。
以 上
刑法第一問
1 乙の罪責について
 (1) 本問において、乙はA会社の倉庫に「侵入」していることからA会社の管理権を侵害しているといえ、建造物侵入罪が成立する(130条前段)
 (2) 次に、乙は「絵画」を手に持って「倉庫を出」ており、A会社の絵画に対する占有を侵害したといえ、窃盗罪(235条)が成立する。
 (3) 更に乙は警備員Bに発見され、「逃げるため」に「腹部を強く蹴り上げ」ている。
    かかる行為は、警備員Bの反抗を抑圧する程度の暴行といえ、事後強盗罪における「暴行」といえる。そこで、乙に事後強盗罪が成立する(238条)。
 (4)ア その後、Bは臓器破裂に基づく出血性ショックにより死亡しているが、乙はBの死亡結果についても責任を負うか。Bに対しては乙の暴行の後に丙も暴行を加えているが、「臓器破裂」はいずれの暴行によって生じたのか明らかでない。そこで、乙の暴行とは因果関係がなく、乙は責任を負わないとも思える。
      しかし、丙の暴行について、共謀共同正犯が成立するならば、乙は丙の暴行についても責任を負う。そこで、共謀共同正犯の成否が問題となる。
    イ 思うに、共同正犯において「すべて正犯」とするのは、相互利用補充意思の下、他人の行為を自己の犯罪意思の実現のための手段といえるからである(60条)。そこで、共謀共同正犯においても、一定の犯罪についての共謀により、相互利用補充意思の下、他人の行為を自己の犯罪意思の実現のための手段といえれば、「すべて正犯」といえ、共同正犯が成立するものと解する。
    ウ 以上を本問についてみると、乙がBに対して暴行を加えた後に、乙と「意思を通じた上で」丙が暴行を加えている。この際に現場共謀が成立しているといえ、一定の犯罪についての共謀が成立している。そして、かかる共謀に基づいて丙がBの腹部を「強く殴り付け蹴り上げる暴行」を加えており、相互利用補充意思の下、他人の行為を自己の犯罪意思の実現のための手段として、自己の犯罪を実現したといえる。よって、丙の暴行について共謀共同正犯が成立する。
      以上より、乙には事後強盗致死罪(241条)が成立する。
(5) 以上のとおり、乙には①建造物侵入罪、②窃盗罪、③事後強盗罪、④事後強盗致死罪が成立し、②、③、④は一連の行為であり、④事後強盗致死罪のみが成立し、これと①建造物侵入罪とは社会通念上手段目的の関係にあり、牽連犯(54条後段)となる。
2 丙の罪責について
 (1)ア 丙は、乙がBに対して暴行を加えている際に、その場を通りかかり、事情を察した上で、Bの腹部を「強く殴り付け蹴り上げる暴行」を加えている。かかる行為について、事後強盗罪(236条)が成立しないか、乙の事後強盗罪の暴行について途中から加勢したものについても、事後強盗罪が成立するか、事後強盗罪の性質が問題となる。
    イ 思うに、窃盗にのみ着手しても暴行強迫を加えない場合には事後強盗罪にはならない。そこで、事後強盗罪における「窃盗」は、事後強盗における犯人の一定の地位といえ、身分に当たるといえる。そして、窃盗が財産犯であるのに対して、暴行、強迫は、身体の安全を保護する犯罪であり、罪質が異なっており、真正身分犯であると解する。
 (2)ア それでは、身分犯について定めた65条はどのように適用されるか、65条をいかに理解するべきかが問題となる。
    イ 思うに、1項は「犯人の身分によって構成すべき犯罪行為」、2項は「身分によって特に刑の軽重があるとき」と定めていることから、これらの文言に素直に理解するべきである。つまり、65条は1項において真正身分犯の成立および科刑を、2項において不真正身分犯の成立および科刑を定めたものであるとかいする。
      そして、身分を有しない者も、身分がある者と共同することで法益侵害をすることが可能であることから、「共犯」には共同正犯も含むものと解する。
      以上より、乙には事後強盗罪が成立する(238条、65条1項)。
 (3)ア それでは、丙はBの死亡結果についても責任を負うか。Bの死亡は内臓破裂によるものであるが、乙の暴行と丙の暴行とのいずれから生じたのか明らかでないため丙は責任を負わないとも思える。しかし、丙が暴行する前の乙の暴行について、承継的共同正犯として責任を負うならば丙は、Bの死亡についても責任を負うことになる。そこで、承継的共同正犯の成否が問題となる。
    イ 思うに、共同正犯において「すべて正犯」とするのは、相互利用補充意思の下、他人の行為を自己の犯罪意思の実現のための手段といえるからである(60条)。そこで、承継的共同正犯においても、自己の介入前の行為を認識した上で、相互利用補充意思の下、自己の介入前の他人の行為を自己の犯罪意思の実現のための手段として犯罪を実行したと言えれば、「すべて正犯」といえ、共同正犯が成立するものと解する。
    ウ 以上を本問についてみると、丙は「乙の逃走を助けようと思って」Bに暴行を加えたのであり、他人の行為を自己の犯罪意思の実現のための手段として犯罪を実行したとは言えない。
      よって、本問では承継的共同正犯は成立せず、丙はBの死亡結果について責任を負わない。
 (4) 以上より、丙には事後強盗罪(238条)のみ成立する。
3 甲の罪責について
(1)ア 甲は、乙に対して「A会社の倉庫に入」り、「金目の物を盗み出して」来る事  
    を唆している。かかる行為について建造物侵入および、窃盗罪の教唆(130条前段、235条、61条1項)が成立しないか。甲はA会社の倉庫に「何も保管されていないこと」を知っているが、かかる場合にも窃盗罪の故意(38条1項)が認められるか。教唆の故意につき、いかなる認識を必要とするか、明らかでなく、問題となる。
   イ 思うに、教唆犯が処罰される根拠は、正犯の結果について因果性を及ぼした点にある。そして、教唆犯とは正犯者に対して犯罪を実行する意思を生じさせるもののことであり、教唆犯の実行行為は正犯者に犯罪の実行意思を生じさせることである。そこで、教唆犯の故意として正犯者に犯罪実行の意思を生じさせることで足り、正犯結果発生の認識までは不要であると解する。
   ウ 以上を本問についてみると、甲は、乙の度胸を試そうとしてA会社の倉庫に
入り、金目の物を盗み出して来る事を唆している。かかる行為について甲には、乙に対して建造物侵入および、窃盗罪の実行の意思を生じさせる認識があるといえ、故意が認められる。以上より甲には建造物侵入罪および、窃盗罪の教唆(130条前段、235条、61条1項)の故意が認められる。
 (2)ア しかし、甲は乙に対して、窃盗罪の教唆をしたにもかかわらず、事後強盗罪
の結果が生じている。そこで、甲の罪責はいかに解するべきか。38条2項からはいかなる罪責となるかが明らかでないため、問題となる。 
    イ 思うに、故意責任の本質は規範に直面しつつあえてこれを乗り越えた、反規
範的態度にある。そして、規範は構成要件の形で与えられている。そこで、認
識した構成要件と、発生した結果の構成要件が異なる場合は故意責任を問うことができないのが原則であるが、構成要件が実質的に重なり合う限度では規範に直面したといえるから、例外的に故意責任を問うことができると解する。そして、構成要件の重なり合いについては、保護法益と行為態様の重なり合いにより判断するべきであると解する。
    ウ 以上を本問についてみると、窃盗罪と、事後強盗致死罪については、共に財
産を保護する点で、窃盗罪の限度で保護法益の重なり合いが認められる。また、財物を奪取する点で、窃盗罪の限度で行為態様の重なり合いも認められる。よって、甲には窃盗罪の教唆(235条、61条1項)が成立する。
(3) 以上より、甲には建造物侵入罪及び、窃盗罪の教唆犯が成立し(130条前段、235条、61条1項)、共に社会生活上一個の行為で教唆していることから、両罪は観念的競合(54条前段)となる。
以 上