グレンダイザーとベガ星連合軍の戦いが終わって早一ヶ月。
兜甲児は光子力研究所に戻り、いったん中断してた科学者の道を再び歩み始めていた。
そして今日。
NASAに残って研究を続けていた弓さやかが、自ら開発した新しいロボットを携えて戻ってくる。
弓教授は二人に気を利かせて研究所員全員に休暇を与え、自らも学会参加のため東京に出張していた。
朝10時30分。
甲児はコントロールタワーに向かう。
さやかからは11時に研究所に到着するとの連絡を受けている。
普段は大勢の人々が行きかう研究所は静まり返っていて、自分自身の靴音が響くのみだ。
やけに派手な音を立てて開くドア。
無人のコントロールタワーが甲児を出迎える。
そして・・・音声のみの通信が入る。
「甲児くん、いる?」
懐かしいさやかの声がスピーカーから流れる。
何も変わらない。しばらく会っていないことが嘘のようだ。
「ああ。ここにいるぜ。でも、どうして画像を切ってるんだい?」
「まあいいじゃない。気分よ、気分」
甲児の質問を受け流して続ける。
「お願いがあるの。予定通り11時に着くから、マジンガーZで出迎えてくれる?」
「ああ、お安い御用だぜ」
「じゃあよろしくね」
「気をつけてな」
短い会話が終わり、通信が切れる。
10時50分。
「マジーンゴーッ!パイルダーオーンッ!」
久し振りにパイロットスーツに身を包み、マジンガーZに搭乗する甲児。
ダブルスペイザーとはまた違う、ロボットと一心同体になった気分が蘇ってくる。
祖父が自分のために遺してくれた形見。
神にも悪魔にもなれる不滅のスーパーロボット。
マジンガーZは甲児自身なのだという忘れかけていた事実を再び思い出させてくれた。
研究所の前に雄々しく立ち、空を見上げる鉄の城。
そんなマジンガーZに青空を切り裂き迫り来るもう一体のロボット。
通信が入る。
「待たせちゃったかしら?」
腕時計にちらりと目をやる甲児。
10時58分。
「いや、時間ぴったりだぜ」
短い会話が終わる。もう通信機は必要ない。
優雅な仕草でZの眼前に着陸するロボット。
「ただいま、甲児くん」
「おかえり、さやかさん」
しばし見つめあうZとさやかのロボット。
「さやかさん、そのロボットの名前はなんていうんだい?」
「ビューナスAよ。よろしくね」
「ビューナスAか。いい名前だぜ。しかしそのデザイン・・・びっくりしたぜ」
無理もない。
ビューナスAはさやかのパイロットスーツ姿を模してデザインされていたのだ。
栗色のロングヘアのようにデザインされた放熱板。
カチューシャの部分がコクピット。
切れ長の涼しい目元と淡いピンクの唇。
ピンクを基調に、中央の部分が純白に彩られているスレンダーなボディ。
レディーロボットの象徴であるミサイルが内蔵された、挑発的に上を向いた胸元。
目の前に巨大なさやかがいるように感じてしまう。
「くらくらしちゃう?」
コクピットでいたずらっぽく微笑むさやか。
「ああ、そうかもな」
照れながら返す甲児。
「じゃあバッチリね」
Zにぴったりと寄り添うビューナス。
「バッチリって…どういう意味だい?」
まるでさやかにくっつかれているようで落ち着かない甲児。
「浮気性の甲児くんが他の女の子に目移りしないように、って思って」
Zの首に腕を回して上目づかいで見上げるビューナス。
「ビューナスはわたしの分身だから。寂しかったわ。離れてる間。でも…」
ビューナスがZの胸に頬を埋めて甘える。
「これからはずっと一緒よ、甲児くん」
長い別離に耐え、甲児への想いを抑えていたいたさやか。
溢れんばかりの想いを今ビューナスに託し、Z=甲児にぶつけているのだ。
「もちろんさ」
甲児もさやかの想いに気付き、そっとビューナスの髪を撫でる。
「やっとまた二人になれたんだ」
ビューナスを抱き寄せ、じっと見つめ合う。
「ずっとZの…俺の側にいてくれよな」
「うれしい…」
兜甲児は光子力研究所に戻り、いったん中断してた科学者の道を再び歩み始めていた。
そして今日。
NASAに残って研究を続けていた弓さやかが、自ら開発した新しいロボットを携えて戻ってくる。
弓教授は二人に気を利かせて研究所員全員に休暇を与え、自らも学会参加のため東京に出張していた。
朝10時30分。
甲児はコントロールタワーに向かう。
さやかからは11時に研究所に到着するとの連絡を受けている。
普段は大勢の人々が行きかう研究所は静まり返っていて、自分自身の靴音が響くのみだ。
やけに派手な音を立てて開くドア。
無人のコントロールタワーが甲児を出迎える。
そして・・・音声のみの通信が入る。
「甲児くん、いる?」
懐かしいさやかの声がスピーカーから流れる。
何も変わらない。しばらく会っていないことが嘘のようだ。
「ああ。ここにいるぜ。でも、どうして画像を切ってるんだい?」
「まあいいじゃない。気分よ、気分」
甲児の質問を受け流して続ける。
「お願いがあるの。予定通り11時に着くから、マジンガーZで出迎えてくれる?」
「ああ、お安い御用だぜ」
「じゃあよろしくね」
「気をつけてな」
短い会話が終わり、通信が切れる。
10時50分。
「マジーンゴーッ!パイルダーオーンッ!」
久し振りにパイロットスーツに身を包み、マジンガーZに搭乗する甲児。
ダブルスペイザーとはまた違う、ロボットと一心同体になった気分が蘇ってくる。
祖父が自分のために遺してくれた形見。
神にも悪魔にもなれる不滅のスーパーロボット。
マジンガーZは甲児自身なのだという忘れかけていた事実を再び思い出させてくれた。
研究所の前に雄々しく立ち、空を見上げる鉄の城。
そんなマジンガーZに青空を切り裂き迫り来るもう一体のロボット。
通信が入る。
「待たせちゃったかしら?」
腕時計にちらりと目をやる甲児。
10時58分。
「いや、時間ぴったりだぜ」
短い会話が終わる。もう通信機は必要ない。
優雅な仕草でZの眼前に着陸するロボット。
「ただいま、甲児くん」
「おかえり、さやかさん」
しばし見つめあうZとさやかのロボット。
「さやかさん、そのロボットの名前はなんていうんだい?」
「ビューナスAよ。よろしくね」
「ビューナスAか。いい名前だぜ。しかしそのデザイン・・・びっくりしたぜ」
無理もない。
ビューナスAはさやかのパイロットスーツ姿を模してデザインされていたのだ。
栗色のロングヘアのようにデザインされた放熱板。
カチューシャの部分がコクピット。
切れ長の涼しい目元と淡いピンクの唇。
ピンクを基調に、中央の部分が純白に彩られているスレンダーなボディ。
レディーロボットの象徴であるミサイルが内蔵された、挑発的に上を向いた胸元。
目の前に巨大なさやかがいるように感じてしまう。
「くらくらしちゃう?」
コクピットでいたずらっぽく微笑むさやか。
「ああ、そうかもな」
照れながら返す甲児。
「じゃあバッチリね」
Zにぴったりと寄り添うビューナス。
「バッチリって…どういう意味だい?」
まるでさやかにくっつかれているようで落ち着かない甲児。
「浮気性の甲児くんが他の女の子に目移りしないように、って思って」
Zの首に腕を回して上目づかいで見上げるビューナス。
「ビューナスはわたしの分身だから。寂しかったわ。離れてる間。でも…」
ビューナスがZの胸に頬を埋めて甘える。
「これからはずっと一緒よ、甲児くん」
長い別離に耐え、甲児への想いを抑えていたいたさやか。
溢れんばかりの想いを今ビューナスに託し、Z=甲児にぶつけているのだ。
「もちろんさ」
甲児もさやかの想いに気付き、そっとビューナスの髪を撫でる。
「やっとまた二人になれたんだ」
ビューナスを抱き寄せ、じっと見つめ合う。
「ずっとZの…俺の側にいてくれよな」
「うれしい…」
2体のロボットのシルエットが今ひとつに。
太陽の光が久々の再会を果たした恋人たちをきらきらと輝かせていた。
[第一部終わり]
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この続きを考えているのですが、今までにないオトナ向けのお話になりそうです。ブログに載せるのもなんなので、ご興味のある方にだけ個別に読んでいただこうかと思っています。
ご希望の方がいらっしゃたら教えてくださいね。すでにnamiさんからはいただいています。
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