甲児ピンチ!さやか機械獣登場 その2 (Inspired by チッチさん) | ロボットヒロイン大好き!

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立ち上がったZに休む時間を与えず、機械獣が飛び掛ってくる。
「あっ!」
指先から赤い爪が伸び、Zの顔を引っ掻く。
ざっくりと傷つく超合金Zの顔。
「なんだよ、この機械獣は。マニキュアチョップまで使うのかよ!」
生身のさやかの必殺技を繰り出されて驚く甲児。
『確かに…外見も戦い方もわたしと同じだわ…でも、どこか変…』
戦いはそっちのけで、なにやら思案にふけるさやか。
その間も機械獣の攻撃は休まずに続く。
空高く飛び上がり、Zに向けてドロップキックを放つ。
「!!」
またも捲れあがるミニスカート。
反応が遅れたZの胸元につま先がめり込むほどの強烈なキックが決まる。
「まずいぜ、このままじゃ…でも…」
ただでさえさやかそっくりの姿である上に、時折見せる悩ましい姿…
思春期の高校生=甲児にとってはやりにくくて仕方ない相手だ。
あしゅらの策略が見事にハマったのだ。
機械獣と戦わなければいけない。でもさやかそっくりの姿は傷つけたくない…
そんな思いが甲児の頭の中をぐるぐると駆け巡っていた。
『もし機械獣が100%わたしをモデルにしているのならきっと…』
なにやらピンときた様子のさやか。


「甲児くーん!」
機械獣に首を絞められているZに向かって両手を振る。
「どうした、さやかさん。見ての通りこっちは取り込み中なんだよ!」
「あら、美人と密着して鼻の下伸ばしてるのかと思ったわ」
まずは憎まれ口を。
「いい加減にしろよ!大変なんだよ、こっちは…うわーっ!」
指先から青いドリルが出現し、Zの首筋を襲う。
「よく聞きいて。機械獣の弱点は腰よ」
「腰だって?どうしてそこが弱点だってわかるんだい?」
「そんなことどうでもいいの」
なぜか照れながら応える。
「そこを攻撃してみて。装甲が一番薄いはずだから」
「ああ、わかったぜ。それっ!」
渾身の力を込めて機械獣を突き飛ばし距離を取る。
「ドリルミサーイル!」
小型のドリルが高速回転しながら機械獣のバックルを目がけて1発だけ打ち込まれる。
さやかの言う通りあっけなくボディを突き破りその内部へ。
コントロール装置が破壊され、機械獣は目を閉じ、膝を付き、そしてうつ伏せに倒れた。


激しい戦闘を終え、パイルダーオフし大地に立つ甲児。
甲児に駆け寄るさやかと弓教授。
「甲児くんご苦労。よくやってくれたね」
「いやー、参りました。まさか巨大なさやかさんに襲われるとは夢にも思ってませんでしたよ」
「あら、戦ってる間中ずーっとニヤニヤしてたのはどこの誰かしら」
甲児の耳たぶをつかんで捻るさやか。
「いててて…勘弁してくれよ。機械獣より怖いぜ」
「ふん。誰のおかげで勝てたと思ってるのよ」
手を離し、腕組みして甲児を睨みつける。
「それはそうなんだけどさ…さやかさんはどうして機械獣の腰が弱点だってわかったんだい?」
「えっ…それは…」
アフロダイを失った悲しみでいつもよりかなり軽くなっていたさやかの体重。
その大部分はウエストからだった。
機械獣の動きを見てなんだかぎこちないと気づいたさやかははたとその事実に思い当たったのだ。
自分の身体を100%トレースして造られた機械獣ならその部分に無理な負荷がかかっているはずだと。
「まあどうでもいいじゃない」
あっさりごまかしてなかったことに。


「ところでさやか」
「はい、お父様。どうしたの?」
「この機械獣をどうしようか。このまま壊すのは惜しい気もするが…」
「確かにそうよね…」
あしゅらの手によって生み出されたとはいえ、自分そっくりの強力なロボットだ。
「ねえ、この機械獣をわたしの新しいロボットに改造するっていうのはどうかしら」
「うむ、面白いアイデアだ」
夕暮れの富士山をバックに手を取って立つマジンガーZとさやかそっくりの新ロボット。
Zの手がそっとさやかのロボットの肩を抱き寄せ、ぴったりと寄り添う。
そんな情景がさやかの脳内を駆け巡っていた…


ジリジリジリジリ…
甲高い目覚まし時計の音が響く。
『えっ…今のは…夢…?』
パジャマ姿で起き上がるさやかの顔に、カーテンの隙間から柔らかな日差しがかかる。
『残念…』
ベッドから抜け出して一日の準備を始めるさやかだった。


【終わり】