光子力研究所格納庫。さやかとジュンが急ピッチで進むダイアナンとアフロダイの強化作業を眺めている。
「さやかさん、どう?」
「うーん・・・もうちょっとペースアップしないと・・・」
最近激しさを増すミケーネの攻撃に対し、苦戦し傷つくことが多くなってきたマジンガーゴッデスたち。女性型ロボットの宿命として、パワーに劣る部分をスピードやパイロットの経験でなんとかカバーしてきたが、それもだんだん厳しくなってきている。
「今の私たちは行動の自由を奪われたら即ピンチでしょ?」
「ええ・・・」
悔しいが同意せざるをえないジュン。
「だから、Zとグレートの武器をちょっぴり改造して、ダイアナンとビューナスに追加してるの」
「楽しみね」
ミケーネ帝国。地獄大将軍が2体の戦闘獣を前にしている
「ユニガロス、イスカリオスよ。お前たちの力であの生意気な小娘どもを倒してくるのだ」
2体とも触手で相手を絡め取り、動けなくする攻撃を得意としている戦闘獣だ。
「いくら強いとはいえ、所詮は女。お前たちのパワーで粉々に砕いてしまうのだ」
「戦闘獣接近!」
鳴り響くサイレン。スクリーンに映し出される2体の戦闘獣。
「来たわね、戦闘獣!」
今にも飛び出さんばかりのジュンとは裏腹に、さやかは戦闘獣の形状を見て、嫌な予感を覚えていた。
「ちょっと待って、ジュンさん」
「どうしたの?」
「まずダイアナンで様子を見るわ。ビューナスはパワーアップがあと少しで終わるから、それまで待機しててくれない?」
「平気よ、あんな奴ら」
「ジュンさん、お願い・・・」
「・・・わかったわ」
「ありがと。じゃあお先に!」
ミニスカートを翻して出撃していくさやか。
光子力研究所に到達した2体の戦闘獣。待ち構えているダイアナン。
「さあ、ここから先は一歩も通さないわよ!」
戦闘体勢に入る。
「スカーレットビーム!」
ダイアナンのビームがユニガロスを襲う。しかしユニガロスは身軽にかわすと、頭部のヒトデ状の触手を発射。
「あっ・・・」
ダイアナンの両腕ごと体に巻き付き、自由を奪う。
「くっ・・・こんなもの!オッパイミサイル!」
必殺技を放とうとするが、触手の力は強く、発射できない。ニヤリと笑うユニガロスは頭部から槍を出し、四つん這いになるとダイアナンに向かって走り出す。
「ああーっ!」
頭部の槍を梃子のように使い、ダイアナンを空中に打ち上げる。
「さやかさん!ビューナスはまだなの!?」
あせるジュンはコントロールタワーから格納庫に連絡する。
「あと少しです!」
「早く!さやかさんが大ピンチなのよ!」
何度か空中に打ち上げられたダイアナンが落下してくる。ユニガロスは四つん這いをやめ、落下点に仁王立ち。頭部の槍がキラリと光り、ダイアナンの背中から腹部を貫く。
「ぐっ・・・ああん・・・」
ユニガロスの頭部で串刺しにされるダイアナン。ユニガロスはダイアナンをイスカリオスの方に放り投げる。イスカリオスはダイアナンを拾い上げ、怪力で首を締める。
「ああっ・・・スカーレットビーム!」
しかし、腹部を貫通されたためか、スカーレットビームは発射されない。徐々にダイアナンの首にめり込むイスカリオスの指。
「・・・あっ・・・ああん・・・アアーッ!」
苦悶するさやか。
「ジュンさん、ビューナスA出撃OKです!」
やっと格納庫から連絡が来た。駆け出すジュン。
(さやかさん、ビューナスが今行くわ!それまで・・・)
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