母の歌 | ☆みかっちの「しあわせ感性を高める♡」ブログ☆

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人生のどんなシーンをも、十分乗り越えられる生命力。
あなたには備わっている!
生命力こそがすべての難問解決の秘訣♡


77歳になってもご主人が大好きというSさんは

今、認知症を患いながら

ご主人と一緒に暮らしている。


大阪で日本舞踊の名取になったSさんは

塚本駅近くで教室を開いて

20代前半の頃

30人のお弟子さんに囲まれて

とても充実した所謂“おっしょさん”時代を

過ごしていたそうだ。


ご主人に言わせれば

「あの教え方では

 妻は、お金儲けはできなかったと思う。」


とても熱心で、一人ひとりにかける時間が長く

また、ポイントを押さえた指導が上手く

お弟子さんをとても速く名取にする事が出来たという。


しかし、ご主人に出会ったことで

人生の転機を迎えたSさん。


「人生をもう一度やりなおしたい。」

そう思って結婚を決意したそうだ。


10歳で母を亡くした。

戦後は鳥取に疎開したままの父と妹に

シキボウの工場で働いて

仕送りをしつづけた。


家族の団らんは空襲警報の音とともにあり

母の思い出もあまりない。

甘えたり、抱きしめられたという感触が持てなかった。


父が跡取りの社長にと手塩にかけて育て

神戸商船大学に行っていた兄。

頭がよくて、強く優しく

何でも相談に乗ってSさんを守ってくれていた

その兄は19歳で病死。

そのショックで父は生きる気力を失った。


病院の階段の踊り場で

余りにも赤くて美しい夕焼けをバックに

「どうしよう」と頭を抱え込んだ父のその姿。


当時の、座った状態で入る

棺桶の中の兄の、まるで

「S子!」とあの笑顔で語りかけそうな精悍な顔。

その景色が今でもはっきりと見えるという。


家族は大きな柱を失った。

そこから、家族はバラバラになった。


「家族の団欒を持ちたい。」


Sさんのその思いは

生涯をかけようと思った踊りの世界を

上回った。


小さな島に嫁いで

旅館の女将さんとして

二人の子供を育てながら

その島で、ボランティアで踊りを教えつづけた。


そして、ようやくゆっくりできる年齢になった時

認知症を発症した。


シャキシャキしていた時に

Sさんはこう語っていた。



「全てを捨てて島にお嫁にやってきたのに

 まったく、うちの主人は、結婚指輪もないし

 新婚旅行も行ってないし

 愛してるとかもないし。」



「でも、ある時

 ご飯を食べているときに主人がこう言ったんです。


 “ええ子を二人も産んでくれてありがとうね”


 ふいに言ったんですよ。突然に。

 その言葉がとても重くて、あまりにも嬉しくて

 涙が止まりませんでした。


 一番欲しいものをちゃんと私は得られていたんです。

 私にとってはどんな指輪よりも、

 どんな言葉よりも素敵な言葉で

 その言葉を支えに、今も生きています。」



上手く、もう言葉は交わせないかもしれないけれど

その、大好きなご主人と二人で暮らしている

Sさんの脳裏にはきっと

幸せな映像がずっと回っているのだろう。




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人生は一本のドラマのようですね。

Sさんとは、私の母。

他人ぽく語ると、また違ったものが

不思議と見えてきました。


先日、伊藤さんともくさんと座談スカイプをしている最中に

もくさんが

「愛する人を失った人への癒し」として

“二人が出会った時からの事を語ってもらう”

という事を仰ってました。

 


母の日が近づくとなぜか母の人生を思い起こします。


自分のルーツである父や母の人生を語ることで

実は、違う側面が見えてきたり

根源的に癒されることがとても多いです。


そこには、この世にたった一つしかない

愛の形があり

その形の影響を

自らも色濃く受けている事がわかります。



『からだの声を聞きなさい』の著者

リズ・ブルボーさんは


「この世において、動機と呼ばれるものは、

 “愛”と“恐れ” どちらかしかない」 と言います。


そして 

「ある動機をもとにした行動は、さらにその動機を強めてしまう」

とは、心理学者の加藤諦三さんの言葉です。


愛をもとにすれば愛が

恐れをもとにすれば恐れが


強まっていくということなのですね。



両親や、自分のストーリーを語る時

そこには、恐れの仮面の下に

変形したおっかなびっくりな愛があり


そして、その下には

何かに導かれているような

そんな、大きな大きな

本質的な愛に触れる事が出来るような気がします。


恐れから、愛へのシフトが、

自然にできてしまいます。



母の日まであと一週間。



たった一人のお母様の人生を

もう一度なぞって

聞かせてもらったり

話題にしたり

思い出を語り合ったり



そんな時間を、少しだけ

過ごしてみてはいかがでしょう?