東京一人旅で娘がいない10日間
ネコのレオンは…
すっかりと “野良猫もどき” になっていた。
私と二人きりになるや否や
庭に隠れて家に上がってこない。
ご飯の時だけ
「にゃあ~にゃあ~」
と、声をかけ
ご飯を用意すると
もくもくと食べ
「レオン~!」
と、呼んでも
プイッと、また庭にもどり
夜も昼も、帰って来なかった。
まるで、プチ野良猫を気取っているようだった。
電話でも娘に伝えた。
「もう、レオン戻ってこないかも」
昨日、久々に大阪に降り立った娘。
御堂筋線と阪堺線で、
一緒に帝塚山まで帰ってきた。
東京では計画停電があった事
よく余震があったこと
姪っ子が大きくなっていた事
おばあちゃんが掃除上手だった事
おじちゃんに服を買ってもらった事
そんな事を話しながら。
背も伸びた気がする。
帰宅し
「変わってないなあ~、当たり前か(笑)」
と言いながら、庭への扉を開ける娘。
「レオン~!!」
つかの間の沈黙の後
「にゃあ~」
と、駆け寄るレオン。
すんなりと娘に抱っこされ
家に入ってくる様子に
脱力してしまった。
なんで、私じゃあかんねん…。
よく思い返してみると
娘は、そう・・・
レオンは帰ってくるのが当たり前
というスタンスで呼んでいた。
私は、何としても
野良猫にしてはならない!!
そんなスタンスで
「ネバならない」で呼んでいた。
そんな事に気づいた。
何かを所有することよって
心穏やかになる事はない。
その、存在を確かに感じられることで
心は満たされる。
心の絆とは、そういうものなのかもしれない。
娘と一緒に寝ているレオンは
プチ野良猫時代に傷ついた耳を
ペロペロなめつつも
穏やかな顔をして
まるで家猫のように(家猫やっちゅうねん)
眠っている。
娘の体温を感じて眠っている。
あなたじゃなきゃだめなんだ。
あなたに癒される。
その背中は、まるでそう言って
笑っているようだった。