- 著者: 杉浦 日向子
- タイトル: 江戸へようこそ
そういえばね、こうして、日記書くときって、たとえば、どんな事故だったかってのは、今現在の時点では、書かなくてもわかるから、省略するじゃないですか、今この日記読んでらっしゃる貴方は、尼崎のJRの事故のことだと、わかりますよね。で、私は、当然の大前提だから、詳しくかかない。
そうするとね、なんらかの形で、この日記が100年くらい後に残って後世の人が読んだ場合、その大前提がわからなくて、苦労するんだそうです。その時代に生きていた人は、みんな、そんなん当たり前や、誰でも知ってるやん、と、思っているので、わざわざ誰もかかないのですって。だから、みんな、今日、こんな、変なことがあった、って、ビックリしたことばかり、日記や手紙に書き記し、それが、後世に伝わってしまうので、昔の人って、変なことしてたんだなあ、って、ことになるんだけど、あくまで、特異な例が記されていることが、多いので、気をつけないといけないんだそうです。
案外、日常生活って、残り難いらしい。当たり前のことをわざわざ書き遺す人っていないから。歴史系研究者の悩みなんだそうです。