社会学者の宮台真司先生は、日本人の恋愛下手について、かつてこんなことを言っていた。
 「日本人が恋愛が下手な理由について、西洋の社交術(art of intercourse)のことを調べていて、あることがわかりました。日本人は、相手に気に入られようとして、相手の要求に従おうとしてしまいます。また、相手の言動にいちいち一喜一憂してしまう。西洋の社交術の本質は、相手に自分がひとかどの人物(somebody)であることを示すことです。それが成功すれば、あとは相手がどうするかは相手の問題です」。
 会話はよくキャッチボールにたとえられるが、恋愛にも似たところがあるような気がする。相手が取りやすいところにボールを投げたら、そのボールを取るかどうかは相手次第だと思う。自分に関してある程度「自己提示」したら、相手がどうするかは相手の問題。関心を示して関係がはじまれば、そこから徐々に「自己開示」をしていくことになる。
 相手の一挙手一投足をおどおどして気にせず、自分の「人格」を示して、対等につきあえる人物であると思ってもらう。それでも相手が興味を持たなければ、それまでだ。
 社交術は、ストーカー的振る舞いとは正反対の「人づき合いの知恵」なのだと思う。



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