6月の刺繍教室☆その3 | 暮らしを彩る刺繍

暮らしを彩る刺繍

刺繍デザイナー 土田真由美のブログ兼ホームページ(旧 Nui nui 生活 in NY & TOKYO)
刺繍教室(MAYUMI TSUCHIDA Embroidery & Needlework)を主宰しています

 

 

久しぶりにアッシジ刺繍のピンキープの画像を上げますが、吉祥寺第三土曜午前クラスの生徒様による制作になります。

この回は皆さんに配色をお任せしているのですが、毎回様々な組み合わせが見られて、私も楽しいです。

とても綺麗に出来ていますね!

 

さて話は思いっきり変わり、今日は刺繍図案のトレース問題についてお話したいと思います。

この件についてはいろいろお考えになっている方、沢山いらっしゃるのではないかと思います。

私自身も以前から?と思っていましたが、言及は避けてきました。ただし出版社には随分昔に問い合わせたこともあります。

 

私は普段自分の世界に没頭してというか、殻に閉じこもって創作しているので(笑)、最近の刺繍の本については生徒様が持ち込まれるものしか見ていない状態でしたが、2年程前?から何だか図案が似ているよなぁ、、、でも著者は違う。

まあ下絵があるもの(例えば図鑑やテキスタイルなど)をトレースして図案にしていればそうなります、と生徒様にはお伝えしてきました。

そして最近ますます大多数の生徒様がそのことに気が付き始め、先生似ているものばかりだけれど、それでもいいんですか?(要するに、自分の図案として発表出来るのかということ)としょっちゅう聞かれるので、出版社に問い合わせてみたらどうですか?ともお返事しているのですが、

例えば私は、ある刺繍の図案があったとして、それが他の方によって全くことなる技法によって刺してあったとしても、前者の図案をトレースしたものであることが分かるのですが(絵のトレーニングをしているので分かるのだと思います)、最近は刺繍教室に入会が浅い生徒さんであっても皆が分かるレベルにまでなっています。

 

以前、植物画などの販売に携わっている方ともお話ししたことがあるのですが、例えば植物画や図鑑にある植物をほぼそのままトレースして自身のデザインとして発表することは出来ません。

刺繍の先生はよくやるけどね、とおっしゃっていました。

キャプションや参考文献をきちんと付ければ良いのです。

(ただし付けたとしても、そういう制作方法ばかりを取ること自体、どうかな?とは考えますが)

 

最近他の業界でトレース問題について話題になっていましたが、刺繍業界であっても基本的な考え方は同じであると思います。

私が厳しすぎるのか?とも思っていたのですが、誰もが知っている刺繍の有名な先生もそういう図案は自分のデザインとは言えないと断言されていたので、やはりそうなのです。

 

出版社から持ち込まれた企画としてされているものかも知れませんが、私はそういう企画はお受けしないですね。正直自分で原画を描いたものでないと価値がない、とまでは言いませんが、価値が低いですし、クリエーターとしての資質が問われるのでやらないです。

お受けするとしたら、必ずキャプションと参考文献は付けるように私からお願いするはずです。

 

という訳で、その都度生徒様に説明するのも面倒なくらい質問されるので、この場に書いてしまいましたが、書くことについても勇気がいることであるとご理解下さい。

 

そしてこれから刺繍に係わるクリエーターを目指してみたいと思われる若い方は、是非直球勝負で制作してみませんか?^^