こんにちは!

未来を魅せる税理士 神佐真由美(かんざまゆみ)です。

 

先日、第3回事業承継と事業承継税制研究会を開催しました。

 

坂口俊幸法律事務所のみなさまと、

税理士有志による研究会です。

 

 

 

5月に発足し、今回が3回目。

テーマは

「親族外承継に、事業承継税制は使えるか?」でした。

 

 

事業承継税制の大元になっている

経営承継円滑化法の趣旨は、

「これから増えるであろう 親族外承継がしやすくなるように」

という意味もあります。

 

だからこそ、

本当に親族でない方に経営を承継させるときに、

使いうるものなのか?

検討しておく必要があると思いました。

 

 

毎回、架空の事例をつくり、ケーススタディを行なっています。

2グループに分けて、検討すべきことをディスカッションし、

発表し合うワーク方式です。

 

 

従来からの事業承継税制でも、

 

・後継者に親族外の人を指定できる 

 

ということはあったのですが、

 

今回の特例事業承継税制では、

 

・親族外の後継者でも、贈与を受けた自社株について「相続時精算課税」を選択できる

 

こととなり、

猶予税額を低くすることができ、

事業承継税制の適用のハードルは一気に下がったと言えます。

 

 

じゃあ、実際にこれを使うのか?どうだろう?

 

 

会社を継がないだろうご子息がいる社長が、

営業部長をしている従業員に、

会社を継いでほしいというケースで検討しました。

 

 

いろんな意見がでて、

検討するときに気をつけねばならないポイントが浮かび上がりました。

 

 

・創業以来業績を伸ばして1億円の評価がつく自社株を、

他人に贈与するのは心情的にどうなのか?

 

・できれば、お金にかえたいと思うかもしれない。

  となれば、譲渡(後継者による買取)を検討すべきだが、

  後継者に資金がなければ、後継者が借入をするか、それを見据えて給与上げて、貯蓄してもらうか。

 

・贈与にしても譲渡にしても、株価が高いと、ハードルが高くなる。

   金庫株(自社株買い)と先代への退職金支給を利用して株価を下げてから実行すべき。

 

 

・事業承継税制を使おうが使わまいが、第三者の後継者に株式を贈与すると、

ほかの相続人の遺留分を侵害するかもしれない。

  遺留分減殺請求をされると、後継者は困る。事前に解決しておく方法はないか?

 (遺留分の計算から自社株を除外する「除外合意」という方法が使える)

 

 

・事業承継税制を使って、第三者に株式を贈与すると、

   先代がなくなったときには、贈与税は免除されるが、遺贈されたものとして、

   相続税の課税に切り替わる。

   本来は相続人だけの相続税申告書に、第三者の名前が入り、一族の財産の内容を知られてしまうおそれがある。

 

 

・ここまで考えてきて、本当に従業員の方が継ぐかどうかもわからないし、

業績の良い会社なのであれば、違う会社にM&Aで売却した方がスッキリするのでは?

 

 

・ファミリービジネスを引き継ぐ第三者は大変。

   お前のせいで潰したといわれかねない。(かもしれない)

 

 

などなど・・・。

 

ソリューションがあると、

それありき、使わないと損するのではないかという心理が働いてしまいますが、

 

高い視点で全体をみて、

それぞれが納得する「すわりのよい」落としどころを、

丁寧にみつけていくことが必要だという結論になりました。

 

 

自分だけで考えていては、

狭い視点・思考に陥りやすいということもわかりました。

 

視点や経験が違うもの同士、議論することには大きな意味がありました。

お客様の課題解決策を一緒に考えるにあたり、糧になることばかり。

 

知識や内容はもちろんのこと、視点の高さを意識しながら、

提案していきたいと思います。 

 

ご一緒くださった皆様には、

本当に感謝しています。

 

第4回は、

「事業承継が相続に与える影響」について考えていく予定です!

 

 

 

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