ラグビーファンの皆さん、今回の日本代表メンバー発表、
特にスタンドオフ(SO)の選考を見て、どう感じられたでしょうか。
私は正直、メンバーのリストを見た瞬間、「あれ?10番の発表は別枠だったっけ?」と
自分の目を疑ってしまいました。
大黒柱となるはずだった李承信選手が直前の手術で不参加となり、
最も注目された司令塔枠。
しかしそこに、私たちが期待した「あの天才」の名前はありませんでした。
どうしても納得がいかないのが、山沢拓也選手(埼玉ワイルドナイツ)の落選です。
今季の山沢選手は、ゴールキック成功率86.1%でベストキッカーを獲得。
チームを牽引してリーグワンの「ベスト15」にも選出されました。
まさに今、日本で最も脂が乗り切っている最高の10番です。

かつて筑波大学時代の山沢選手をシニアの代表合宿に呼び、その才能に
誰よりも早く惚れ込んだのは、他ならぬエディー・ジョーンズHC本人でした。
それなのに、この緊急事態でも声がかからない。
エディーは山沢選手をもう見限ってしまったのでしょうか?
エディーの目指す「超速ラグビー」に、
山沢選手のスピードやインサイドへの鋭いラン、
即興のキックセンスはむしろピッタリ嵌るはずだと、私には思えてなりません。
もちろん、エディーのロジックを推測するなら、
「自分で間(タメ)を作る山沢のプレースタイルが、
システム通りにテンポを出し続ける超速とズレる」
「2027年から逆算し、今は目先の勝利より若手に修羅場をくぐらせるフェーズだ」
という冷徹な計算があるのかもしれません。
しかし、本当にそれだけで片付けていいのでしょうか。
ここで、今回「10番(SO)」を担う可能性のある、メンバーを見てみましょう。
松永 拓朗 (東芝ブレイブルーパス東京)
小村 真也 (トヨタヴェルブリッツ)
北原 璃久 (三重ホンダヒート)
伊藤 龍之介 (明治大学4年)
ファーストチョイスとして最も有力視されるのは、やはり松永拓朗選手でしょう。
昨シーズン、ブレイブルーパスでリッチー・モウンガが不在のピンチに素晴らしい
代役を果たし、代表でも実績を積んできたタフで安定した司令塔です。
彼が頼れる存在であることは間違いありません。
しかし、一人のファンとして敢えて懸念を言うなら、
「松永選手が10番の時、チームとしての得点能力(アタックの爆発力)が
落ちるのではないか」という点です。
松永選手は非常に堅実で大崩れしないタイプですが、
自らディフェンスラインを切り裂き、予測不能なプレーで一撃でトライを
生み出すような「個の打開力」という意味では、
やはり山沢選手の方が一枚も二枚も上に思えます。
世界のトップティアと戦うネーションズでは、そのわずかな「得点能力の差」が
勝敗を分けるはずです。
さらに私がこの「10番の得点能力」にこだわるのには、もう一つ理由があります。
それは、現在のジャパンが抱えるバックスリー(WTB/FB)の決定力不足です。
今のバックスリーの選考を見ると、失礼ながら「どんぐりの背比べ」の感が否めず、
誰を選んでも今ひとつ決め手に欠ける気がしてなりません。
2015年W杯の五郎丸歩選手と山田章仁選手、2019年の福岡堅樹選手と松島幸太朗選手
のような、「チャンスを100%スコアに結びつける圧倒的な個の決定力」が、
今の代表には決定的に不足しているように見えます。
本来センター(CTB)でこそ生き生きするはずの長田智希選手をウイング(WTB)で
使わざるを得ない現状が、その層の薄さを物語っています。
(ベスト15に選ばれた竹山晃暉の代表落選もひっかりますがこれは置いておいて)
外側に圧倒的なフィニッシャーがいないからこそ、10番(司令塔)の位置に、
自ら仕掛けてディフェンスを破壊できる山沢選手のようなタレントが
必要不可欠なのではないでしょうか。
松永選手のような手堅いゲームメイクだけでは、
今のジャパンは世界の壁をこじ開けられないのではないか、と危惧しています。
4年後のために、今年の「ネーションズ」を犠牲にしていいのか?
「W杯がすべて」というのは分かります。
しかし、だからと言って今年初開催の重い国際大会
「ネーションズ・チャンピオンシップ」を犠牲にしていいものなのでしょうか。
世界トップ12カ国が本気で激突するこの大会は、いわばミニ・ワールドカップ。
ここで実験的なメンバーで大敗を繰り返せば、ファンの心は離れます。
メディアやファンが「超速」という言葉に冷めてしまい、
JAPANブランドが失墜すれば、それこそエディー自身の「首」だって
危うくなるはずです。
未来のために今負け続けていい指揮官など、現代のプロスポーツには存在しません。
ゲームの着地点を知り、一瞬でスコアを変えられる実力者がいない10番の布陣。
これが2027年に向けた大化けの布石となるのか、
それとも日本ラグビーの未来を揺るがす手痛い授業料になってしまうのか。
皆さんは、この「山沢落選、若手全振りの10番選考」をどう見ますか?
私はエディが好きで彼の本は全部読んでるだけに、今のエディが理解できません。
来年はエディを追って?オーストラリアでワールドカップ観戦をする予定です。
今年も来年も勝つ日本ラグビーを観たいものです。
