フィンランドの、北欧の、ヨーロッパの人権意識が進んでいる、それが教育にも浸透している、
そう感じさせる本。
そして同時に、日本が明治維新の思想がそのままいまだに残っていることも感じざるを得ないない。

すべてヨーロッパが進んでいる、というつもりはない。
そもそもヨーロッパだって、闘いに敗れた国の人たちを奴隷にしたり、
植民地を作って搾取したり、と、人権に反する行為をし続け、先に成長=先進国になった、
という過去がある。
暗い過去だ。
ただ、彼らはその反省に立ち、そこを乗り越え、現在の人権意識を持ち、それを制度化、仕組化している。

日本にはそれがない。
江戸幕府を否定はするが、そこまで。
強引に立てた天皇制の元軍事国家を築き、その体制は敗戦後も変わっていない。
変えたのは上に立つものを天皇からアメリカにしたことだけ。
個人としての天皇には何の尊重もしないくせに、「天皇」という制度だけを錦の御旗のように掲げる。
明治がそのまま残っている。
その最たるものが人質司法。そして選択的夫婦別姓制度反対。
被疑者、マイノリティの人権など一切認めない。
そしてなぜか自分たちは安全な場所にいると思っている。特権。
それも昨今は偏差値エリート、世襲をして特権と思っている。
あ、あとは大企業でヒラメ、きょろめのようにして社内出世戦争の勝利だけを

考えたもの、か。
そのなれの果ては日産。

大企業の経営者はこの5年で3割年収が増え、従業員は数%という統計がある。

リストラをし、内部留保すれば経営者は成果報酬で給料が上がる。

駄目だこんな大企業は。

今の文科省の教育は明治軍事国家日本がそのまま生きている。
そんな教育ではだめなのだ。
個人の人権に焦点を当てて、変わらなくては。変革しなくては。

 

第1章 フィンランドの子どもたちは「いかに学ぶか」を学ぶ
(フィンランドの教育を支える3つの原則;
  きめ細やかな教育ができる理由;校則はなく、服装も自由 ほか)

第2章 視点と行動を変える「人生観の知識」という科目
(高校の授業見学―対話を繰り返し、思考を深めていく;
  ようこそ、人生観の知識へ!―あなただけの「人生観」をつくるために;
  私とアイデンティティ―全ては「自分」を考えることから ほか)

第3章 「きまり」を教える日本、「本質」を教えるフィンランド
(日本の道徳;ポジティブな感情ばかり重視する教育;
  宗教的なものが紛れ込んでいないか ほか)