台湾で民主進歩党の頼清徳氏(64)が総統に就任した2024年5月20日にこの新書を
読んでいた。彼の演説を聞いて、この新書の内容とリンク、リアリティが増した。
中国習近平主席は、毛沢東を越えるため、毛沢東がなしえなかった台湾併合を
実現したい。そのために鄧小平が決めた三選禁止を無視し、長期政権を得た。
そしてその台湾併合のためには孫氏の兵法「戦わずして勝つ」で、台湾の資源を温存する作戦を取る。台湾市民の繊維を喪失させるため、海上封鎖、情報戦、
そして最後は最低限の攻撃。
その攻撃で米軍、そして日本が巻き込まれる。
新書の後半は巻き込まれた日本の最悪のシナリオ。
体制が整っていないため、何事も後手後手に回る。
そうならないための提言をしてこの新書は終わる。

自民党は「台湾有事は日本の有事」のスローガン?のもと防衛費をGDPの2%にした
対アメリカのスタンスとしてはこれも一つの手段だろう。
私も軍事費についてはどういう水準が適切、という知見はない。
少なくとも言えるのは、今の国会議員、官僚の体制ではどこにどんな金を使っても
無駄金になってしまうだろう、と諦めていることだ。
新書にも触れられているが、自衛隊員の待遇、身の回りの装備の充実は後回し、
米軍の中古の役に立つかわからない戦闘機を高値でかわされることで2%になるなら
何の意味もない。
そもそも正月の能登の地震でも初動を誤る政府が、
台湾有事に適切な対応ができるわけがない。
世襲で何も考えていない議員と、正解があるものをこたえることに優秀な官僚が、
今まで経験したことのない有事に適切に対応できるはずがない。
金を積んでも無駄。
多くの人がわが身可愛さで戦わない道を選ぶのではないか。

緊急事態だなんだと法制化、あるいは憲法改正をしようという向きがあるが、

現状ですら対応できない彼らにそれができるはずがない。

まして国民を見ていない彼らが。

・・・しかしこう書いてしまうと身もふたもない。
有事の際は諦めるしかない、となってしまう。
そしてその可能性は、ウクライナやガザの例を見るまでもなく、高まっている。
人類はもっと賢いと思っていたが、プーチンのような大統領がいれば簡単に戦争に
なってしまう。
いま日本がそうなったら、どうしようもない。

・・・ここは日本は時間をかけてでも、考える力を育てるしかないのではないか。
上記のような現在の議員、官僚は不要。
自分で考える力を持った国民を育てることが、適切な対応をもたらしてくれると
信じる。

 

序章 台湾有事はもう始まっている――最重要ターゲットは日本 

第1章 「台湾統一」は習近平の「宿命」――衝撃の有事シナリオ 

第2章 中国はどのように台湾併合を目論んでいるのか

   ――習近平の“戦略ブレーン”が考える「新型統一戦争」をシミュレーション 

第3章 先鋭化する米中対立――東アジアの“火薬庫”はいつ爆発してもおかしくない 

第4章 台湾有事で巻き込まれる日本――次々と浮かび上がる日本の課題 

第5章 習近平の「情報戦」に立ち向かえ――周回遅れの日本