著者が誰かを意識せぬまま読み始め、その内容からして、
この人、教養ある、と感じる。
散歩、、街をそぞろ歩くのは私も大好き。
最近はマラソン地方遠征で、知らぬ街をふらふらするのがとても刺激的。
著者はそんな散歩に、時事問題を、文化を絡め、上手に文章化する。

途中「パンとサーカス」という言葉が出てきた。
え、去年読んだ本だ。まさか?なんと、その本の著者だった。
そしてなるほどと。
パンとサーカスに、著者の男意気というか気概を感じていた。反政府。
経歴を見れば同い年。いいねえ。

そしてこの新書(なんとハヤカワ新書!)の内容は、
前半は散歩のうんちく。名著に描かれた散歩を振り返る。

匂いに着目。食料自給のため土手に野菜を植えることを提案。

暗渠にも着目。ちょっとブラタモリ的な。


そして後半は、著者が散歩という目的をもって、
普段いかない街に降り立ち、食う、呑むを楽しむ。
前半は格調高く、後半はひたすら楽しい。一緒に散歩している気になる。
私が入れそうもない店にどんどん入っていく。馴染みもあるようで。

いくつかの店は食べログに保存した。行けるかな。

孤独のグルメ、井の頭五郎の名前が何度も出てくる。
ランチ難民、、、なるほど。

 

屋久島、登ってみたいものだ。

一人散歩を通して自分を見直す。大切な成人儀礼だと。なるほどなるほど。

新書は普通電車の行き帰り一日で読んでしまうが、
この新書はついじっくり読んでしまい、2日かかった。薄い本なのに。
それ位味わい深かったってことだ。

 

第1章 人類史は歩行の歴史 
第2章 散歩する文学者たち 
第3章 孤独な散歩者の役得 
第4章 ニッチを探す散歩
第5章 都心を歩く―十条・池袋・高田馬場・阿佐ヶ谷
第6章 郊外を歩く―登戸・町田・西荻窪 
第7章 角打ち散歩―新橋・神田
第8章 田舎を歩く―屋久島・秋田