2024年3月いっぱいで終了してしまった読売新聞のpodcastで、
担当記者が最後に訴えたのが、記者、というより個人の思い入れで書いたこの本。
「スーツアクター」?
初めて聞くことば。
でも、podcastで、仮面ライダーやウルトラマンの「中の人」を指す言葉

であることを理解。
さてそれがどんな本になるのか、さほど期待せずに読んでみると、、、

前半は月光仮面、ウルトラマン、仮面ライダーが登場。
月光仮面は実写版はさすがに知らないが、ウルトラマンとライダーは

世代ドンピシャ。
月光仮面はアニメで見たなあ。この本の対象外。
ウルトラマンとライダーの中の人として、古谷敏と藤岡弘、が登場。
え、藤岡弘は変身前の本郷猛であって中の人ではないのでは??
いや、当時は藤岡弘が中の人もやっていたのだ。
そしてバイクで事故に遭い、やむを得ず一文字隼人、仮面ライダー2号が登場、
そしてそれがV3以降のライダーシリーズのきっかけになる。
まさに怪我の功名!
主役が中の人になることもなくなり、より専門性が高まる。
てなあたりが一番ワクワクして読めた。
マグマ大使、スペクトルマンも登場したし。

そのあと戦隊ものになるとさすがにもう卒業していて、
ティガやアギトは娘の父親として見ていて、、、
でもこのあたり、ドラマのテイストが変わってきていて、
特にアギトはなんだかかっこよかった記憶がある。

スーツアクターも大野剣友会からJACに変わり、
動きも洗練されてくる。
スーツは軽量化されるが、
テレビの高精細さに伴い、いい加減なつくりではいけなくなり、
別の意味で重くなる。
視界の悪さは相変わらず。
目で見ず、体で感じて動かなくてはいけない。
大変な仕事。危険な仕事。

しかし、彼らスーツアクターは体を張る。
外国では評価が高いが、
日本では人気も給与も低い。
何が彼ら、そしてごくわずかの彼女らをそれでもスーツアクターにさせるのか
・・・ヒロインも男性がやることが多いそうな。しぐさ、格好も苦労するようで。

特撮物の予算規模が日本とアメリカでは全く違うため、
あちらがCGでやるところも、日本は人間がやらざるを得ない。
彼らの出番はまだまだある。

夢中になって見ていた特撮ヒーロー。
最近のウルトラマンはなんだかロボットみたいで好かないけど、
子供たちのあこがれであり続けてほしいものだ。

 


第一部 スーツアクターが注目される時代
第1章 もはや「中の人」ではない
「ざわつき」の震源はスーツアクター/その役に代理はいない
第2章 ハリウッドでさえ再現不可能
「カッコよさ」に国境はない/日本のヒーローがハリウッドに影響を及ぼす
インタビュー
大瀬康一/古谷敏/藤岡弘、

第二部 スーツアクターの確立
第3章 着ぐるみアクションの源流
ゴジラから受け継ぐ着ぐるみの演技/初めての巨大ヒーローを演じる
第4章 ヒーローの様式を築く大野剣友会
危険ゆえ惹きつけるアクション/「できません」が許されない現場
第5章 主役の集団化とJACの台頭
キャラクターを演じるために生まれてきた男/エスカレートを続けるアクション
第6章 完成へ向かう特撮アクション
熱演が波及する/人間離れした身体性はどこから
インタビュー
中屋敷哲也/岡田勝/岡元次郎/富永研司/高岩成二/浅井宏輔/縄田雄哉

第三部 スーツアクターを論じる
第7章 余人をもって代え難い特殊技能
表情のない面で感情を表現する/女性より女性らしい「女形」の極意
第8章 アクションを創る人
アクション監督・山岡淳二の功績/カメラマン・いのくままさおの技巧
第9章 演者たちの意識
影の立役者「兵隊」たち/正当に評価されるべき「国宝級」技能
第10章 本当の主役は誰か
然るべき「扱い」を/世界に誇る、もう一つの文化
インタビュー
坂本浩一/金田治/春田純一/喜多川2tom/蜂須賀祐一/福沢博文/和田三四郎/新堀和男