「今後30年以内に南海トラフ地震が起こる確率は80%」
我々は政府、地震学者の言うこの数字を信じているわけだが、
この本は、東京新聞記者のこの著者は、その数字が欺瞞であること、
水増しされたものであることを、「はじめに」に記し、
そのあと、200頁をかけてその根拠を論理だてて説明している。

①他のエリアは単純平均モデルで予測しているのに対し、
 南海トラフだけ「時間予測モデル」が採用されていること
②上記については多くの地震学者が疑問を持ったが、トップの独断で
 決められたことが議事録から明らかなこと
③さらにその時間予測モデルですら、その根拠となった過去の文献が、
 信用できる時期、数値ではないこと

これで十分だ。
要するに確率が高いとなれば防災予算、研究予算が下りる。
国の予算を獲得するためにこうした「不正」が行われているのだ。

いや、数字が大きく出て防災に力を入れるのは結構なことではないか!
という向きもあろう。
予算が潤沢にあればそうだ。
しかし現実には限られた予算。
それを恣意的に、いくら日本の大動脈だから、といって、防災の名目で税金を
「えこひいき」して投入することは許されまい。

まして!これら予測の結果、「このエリアは地震の確率は低い」とされ、
防災に力を入れなかったところで地震が起きたら、、、
現に阪神淡路、東北、そして2024年元旦の能登半島。
これらの確率は低いとされてきた。そう思い込んでいた。
低い方がいろいろ誘致しやすい、というのもあったとも聞く。

地震など予知できないのだ。
なのにそれで食っている人がいる。
それも数字をゆがめてまでも。

究極は政治=税金の使い方、だと思う。
明治維新、高度成長は結果的にそれがうまくいった。
しかしそれ以外は失敗続き。戦争、そしてこの30年。
失敗したらその集団は去るべきなのだ。
それが自民党、官僚からして変わらない。

この地震予知もその結果の一つだ。

 

第1章 「えこひいき」の80%
第2章 地震学者たちの苦悩
第3章 地震学側vs.行政・防災側
第4章 久保野文書を追う
第5章 久保野文書検証チーム
第6章 地震予知の失敗
第7章 地震学と社会の正しいあり方は