日本のGDPがドイツに抜かれ世界4位になった、
というニュースが流れる中、この本を読んだ。
なにが世界4位だ、というのが実感。
1人当たりのGDPは32位とか。
そちらのほうが問題。
生産性低すぎ。
日経平均が1989年以来要約史上最高値を更新しようとしているが、
アメリカはそのころから10倍になってる。
政治経済が変わらなすぎ。劣化。
高度成長の成功におぼれ、新しい試みがなされなかった。

そんな中、生産性を向上し、
平均給与2000万円というとんでもない製造業がキーエンス。
BtoBの会社で。
従業員の半分といわれる営業マンが、
クライアントの現場のニーズを吸い上げ、
特注品ではない、汎用品を粗利8割で販売する。
それでも売れる、痒い所に手が届く製品。

その秘訣を、社史を作らない方針のキーエンスに代わるつもりで
著者が迫った。OBへのヒアリングなどを繰り返しながら。

電話掛けはこうすれば効果が出る
訪問はこうすべき

精神論になりがちなこれらの行動規範を、
データに基づいて行うから説得力がある。

何のデータか。
営業が顧客を訪れる都度記録する「外出報告書」や電話の記録にその秘密がある。
これらをデータ化してSFA(セールス・フォース・オートメーション)に取り込む。
その分析結果でものをいうから説得力がある。
さらにここにたまった顧客ニーズを製品化するから、
特注ではなく、しかしそれでいて、ありそうでなかった、現場が欲しがる新製品が生まれる。

・・・と書くと、なんだ、ではSFAを入れればいいのか、
短絡的にそう思うだろう。IT、DXに疎い経営者は。
しかしそうではない。
まずもってこの外出報告書の徹底が難しい。
めんどくさいに決まっている。営業がいちいちこれを入れるのは。
それができることがまずすごい。

しかししかし、さらにさらに、営業がデータを完璧に入れたとしても、
それだけではキーエンスのような効果的なデータ分析はできない。
データベースをかじっている人ならわかるはずだ。
KPIはそんな簡単に見つからない。
そりゃ、訪問回数、電話回数、なんてのはすぐとれる。
でもそれだけではいい分析結果は出ないのだ。

キーエンスはこのノウハウをKIシリーズとして外販していて好評だそうだ。
しかし、、、ソフトだけではうまく動かないはず。
事業の特性によって異なるKPIを、データ項目を、どうやって決めていくのか。
パッケージソフトのおしきせではうまくいくはずがないのだ。

私はここに疑問を持ち、1年ほど前に、
データアナリティクス事業グループの柘植朋紘氏に聞いたことがある。
その答えは、、、
納得できる答えだった。

この本にも、キーエンスという会社は、当たり前のことを当たり前にやる会社、
とあるが、まさにそれだった。
というか、それしかなかった。

その答えは、、、
あまりにシンプルで、ほぼ一言で終わるのだが、
そのキーワードは有料版にさせていただこうと思う。
興味のある方はこちら(準備中)にお願いします。

 

 

はじめに
プロローグ 語りかける化石たち
第1章 顧客を驚かせる会社
 なぜそれを知っている? 神出鬼没の営業パーソン
 異動のことまで把握 顧客の要望を先回り
コラム キーエンス丸分かり
第2章 営業部隊が「先回り」できるわけ
 猛烈な成長スピード 3年目で「超一流」に
 商談のレベルを引き上げる 「ロープレ」1000本ノック
 アポは1日5件から 1分単位で書き込む「外報」
 何でもお見通しの「千里眼」 ウェブ企業さながらの分析
 時々刻々と変わる数字の正体 「営業がうまい」を可視化
 これは監視か救いの手か 上司の「ハッピーコール」
 購買部ではなく「工場」のそばに ビジネスは現場で始まる
 潜在ニーズを引き出す 「顧客取材力」の源泉
 事業部の壁を超えろ 京都で生まれた「ID制度」
第3章 期待を超え続ける商品部隊
 ここから機能追加? それでも間に合わせるスゴ腕
 顧客の「欲しい」 それでは遅い
 潜在ニーズと開発をつなぐ 企画部門の自負
 最後まで企画が関与 開発と丁々発止
 新車を明日納品するようなもの? 「即納」へのこだわり
 ファブレスなのに工場も 協力会社との蜜月をつくる
第4章 「理詰め」を貫く社風と規律
 「一人ひとりが社長」 賞与で経営の意識を育む
 時間も経営資源 「時間チャージ」
 会議の席は入った順 後輩も「さん」付け
 情報の囲い込みは「ダサい」 周りに広げてこそ
 社内にマルサ? 「内部監査」が目を光らす
 90年代には存在 マネジャー育てる「360度評価」
 ESなし、志望動機も不問 志望者の「本質」に迫る
第5章 仕組みの裏に「人」あり
 「飛び込みなし」「接待なし」は80年代から
 「カリスマではない」 創業者・滝崎氏の信念
 決意は高校時代 3回目の起業でチャンスつかむ
 「やってみなはれ」は もうかるなら
第6章 海外と新規で次の成長へ
 テスラのお膝元 米駐在員の奮闘
 成長余地は海外に いずれは7割にも
 スーツケースにデモ機を詰めて 1日1都市モーレツ巡業
 訪れた「海外比率3割の壁」 デジタル変革で突破
 「スターは不要」 アベレージヒッターを底上げ
 「おんぼろビル」から「栓抜きビル」へ 中国での躍進
 ローソンも飛びつくソフト データ分析が次の鉱脈
第7章 「キーエンスイズム」の伝道師たち
 ソフト会社にキーエンス流 ジャストシステムの変革
 OBが続々起業 キーエンス流があちこちに
おわりに