女性として生きることを決めた「パパ」が、

「ママ」として贈る最愛のわが子への手紙

 

「ふつう」の男の子が、少しずつ自分の女性性に目覚め、日テレで働く中で、
それも海外に赴任して活躍する中で、新たな気付きを得て、

女性として生きていくことを決め、実行していくお話。
しかもその中で、女性パートナーと出会い、すでに男性機能はほぼ失っている中で、
精子を抽出し、二人の合意のものとで本当の父親になる。
8歳になった娘「ももちゃん」に、母親は母ちゃんと呼ばせ、

自分は「ママ」と呼ばせる。
そんなママが、やがて成人するももちゃんに宛てて書いたのがこの本というわけだ

この設定は正直読みにくかった。
そもそも一人称「ママ」がなかなかしっくりこないので(何とかバイアス!)
いつの誰のことを言っているのか、わからなくなることしばし。

その点を差っ引くと、実にいい本だったと思う。
人に自慢できるレベルの仕事をバリバリこなしながら、自分を見つめなおし、
葛藤しながら、特に父親には複雑な思いを持ちながら、
女性として生きていくことを決める様子は感心させられるものがあった。
読み手に響く文章だった。

昔の性同一性障害、今は普通にトランスジェンダー。
その心の移り変わり、もちろん十人十色だろけれど、
ママの気持ちは十分のぞかせてもらえた、と満足できる内容だった。

仕事で成功した人のトランスの話だからかっこよいだけ、
実際はもっとつらいトランスの方もたくさんいる、それは分かる。
私の前の職場で、ママと同じ状態の人は仕事の中身が理由で配置転換させられた。
いろんな人がいるのだ。たまたまその人がトランスかどうか、というだけの話。

娘に対する思いがこういう形の本にさせたんだろうなー。
 

 

第1章 「ママ」がまだ男の子だった頃のお話
第2章 「ママ」がまだ男性で、東京に来て頑張っていた20代の頃のお話
第3章 「ママ」がまだ男性だけど、自由に生きていいんじゃないかと気づいた中東特派員の頃のお話
第4章 「ママ」がついに、女性として生きていこうと決めた頃のお話
第5章 「ママ」が「かーちゃん」と出会って、結婚する頃のお話
第6章 「パパ」だけど、ついに「ママ」になりました