政治家はダメだ、役人はダメだ、と外野からぶつぶつ言っていても何も変わらない。
著者のように、新聞社の記者をやめても「公文書道」を貫き、
情報を隠したがる役所を正す、という姿勢に感服した。
こうでなくてはいけない。

私はこの10数年内部監査、という立場で、会社の書類をチェックし、
改善すべき点を指摘する、という仕事をしている。それで飯を食っている。
著者は、新聞社時代は情報公開を求め特ダネをつかみ給料を貰っていたのだろうが、
退職後はどうやって食べているのだろう。
それでも「公文書道」を貫き、この新書を通じて我々に情報公開請求の必要性を
訴えている。進め方を教えてくれる。
それが公開に否定的、勝手に進めたい役所をけん制し、あるべき行政をもたらす、
それがよくわかる。

役所が変なことするはずがない、なんて思い込みがち。
そんなわけはない。ごまかせるならごまかしたいのだ。ずるいのだ。
その傾向はどんどん顕著になっている。
議員の裏金問題もいっしょ。わからなければ好きなようにやる、そういうものだ。
法律の目をかいくぐり、なんでもやる。
あるいは市民がなにもいわなければ頬かむりする。
そんなものだ、人間のやることなんて。
特に最近の偏差値エリートなんて。こすい、のだ。

それを正すには「公文書道」しかないと著者はいう。
もし余裕の年金生活が送れ、暇になるようだったら、
クレーム爺になるのではなく、こういうことをすべきなのではないか。

。。。でも当分暇になりそうもないなあ。
どうしたものやら。
しかしこの新書には刺激を受けた。感謝

 

第1章 報道は期待できない―市民が自ら情報公開請求すべし
第2章 はじめての情報公開請求
第3章 意思決定過程を解明する―狙いは非公開の「調査」と「会議」
第4章 「不存在」を疑う―役所のごまかしをどう見抜くか
第5章 請求テクニック―目的の情報にたどり着くために
第6章 黒塗りに隠されたもの―役所の「痛点」を見つける
第7章 審査請求のススメ―「不開示」がきたらどうする?

 

はじめに/第1章 報道は期待できない──市民が自ら情報公開請求すべし/突然の建設計画/役所に騙されないために/情報公開請求したことがない記者たち/コロナで仕事がなくなった/緊急事態宣言下でひたすら下調べ/情報公開請求は誰でも使える「正攻法」/第2章 はじめての情報公開請求/プレスリリースを見てみよう/実は肝心なことが書かれていない/情報公開と公文書管理の基本知識/一連の「公文書スキャンダル」が示したもの/冤罪事件の弁護に似ている/第3章 意思決定過程を解明する──狙いは非公開の「調査」と「会議」/隠された政策のテーゼを言語化する/「公表」と「公開」の違い/狙うのは非公開の「調査」と「会議」/非公表「調査」の探索法/見つけるのに苦労した調査/チェルノブイリ法を否定するアンチョコ/非公開会議の目的はシナリオのすり合わせ/いじめ自殺問題で市教委に情報公開請求/市教委と学校が隠したかったこと/第4章 「不存在」を疑う──役所のごまかしをどう見抜くか/情報公開と公文書管理は民主主義を支える車の両輪/「不存在」の文書があった/公文書と「個人メモ」の境界は/「保存期間一年未満」の文書/決裁文書が付いたものだけが公文書?/「決裁文書がないから不開示」/請求取り下げの要求には要注意/特例延長について/期限の定めがない特例延長/第5章 請求テクニック──目的の情報にたどり着くために/議事録は一つではない/録音データも公文書/電子メールも公文書/独立行政法人にも情報公開請求できる/情報公開請求は挑戦状/開示の決め手は気迫と見識/第6章 黒塗りに隠されたもの──役所の「痛点」を見つける/黒塗りから透けて見える真意/「知られたら勝手に避難されてしまう」/会議のマトリョーシカ人形/役所のアピールと矛盾するファクトを見つけ出す/途中で葬られた選択肢を探す/密かに確保していた除染費用/消化不良の理由/第7章 審査請求のススメ──「不開示」がきたらどうする?/市民でもできる/「のり弁」と審査請求/審査請求書の書き方/過去の開示事例を探す/他の役所の開示事例を探す/審査請求後の流れ/情報公開審査会の答申/元委員が語る審査請求のススメ/おわりに/参考文献/あとがき