何を誰と作るか、それがすべてだ

前職から1000枚のCDを一つの箱に、というコンセプトを持っていて、
スティーブ・ジョブズに見いだされ
iPod、iPhone、ipadの開発チームを率いた伝説のエンジニア
そののちはサーモスタットを一般の人に提供する会社ネストを創業
CEOとなるも、グーグルに目をつけられ買収され足り切り離されたり。

アップルでの無茶苦茶な働きに別れを告げ、
リタイア、暢気な生活をすべく妻と行った自分の別荘が極寒で、
いいサーモスタットがあれば、しかしどこにもない、
では作ろう、と会社を立ち上げた男。

CEOは自由。
しかし、誰とどんなチームを作るかで、
その成果は変わる。
チームのプロセスまで首を突っ込むと、
マイクロマネジメントになる。

などなど、ほぼ600ページにわたって
彼の活動、そして得たことが描かれている。

変革は必要だが、変えすぎると受け入れられない、
それがGoogleのfirephoneやGoogleグラスの失敗。
iphoneは当時席巻していたブラックベリーのキーボードをなくし、
成功した。

・・・と書いてあるけど、
正直私もキーボードのない端末は最初は受け入れがたかったなあ。
打った気がしないと。
でも慣れちゃうし、いまさらキーボードは要らない。

さらに、
サーモスタットの設置までの時間が長い、それでは意味はない、
原因は?道具を探すためだ、では、と、ドライバーを付属品にする。
コストが上がると反対されたが、違うと押し切り、
むしろネスト社のマーケティングに役立つツールになる。

いいもの作って終わり、ではない。
どう使ってもらうかまで見る。見届ける。必要なら中身をいじる。

モノづくりの要諦。難しいけど、シンプル。

モノづくり、組織づくり両面にわたって造形深く書かれた本。
お見事。

 

はじめに
第一部 「自分」をつくる
第二部 キャリアをつくる
第三部 プロダクトをつくる
第四部 会社をつくる
第五部 チームをつくる
第六部 CEOの心得
おわりに 自分を超える
謝辞
参考文献
解説/楠木建