タイトルとまえがきから、

政治家に顕著に見られる「日本語の乱れ」について
掘り下げる本なのかと思って読み始めた。
違った。

障害者の声、ハンセン病患者の声、
届かない弱者の声を取り上げた本だった。
といってもテーマが一貫しているわけではない。
少数派が声をあげることに意味があることを訴える部分、
これを読んだときは、ひとつ前に読んだトランスジェンダーに
共通することから、本が本を呼んだのかなあと思ったり。

でもそればかりではなかった。
「川の字に寝るって言うんだね」とぽつりとつぶやいた方から見える
らい病患者に対する親戚の冷たさ。いないことにするから、と。
相模原事件で私が持った違和感はこの親戚と共通するのではないか

などなど、思わぬ方向に話が進み、
それはそれで考えさせられるものではあったが、
。。。これが「まとまらない」だったのかと、
なんだかもやもやする。

前の本と合わせ、
マイノリティが声をあげていい、言葉を発していい時代になっている、
それだけは確かだし、大事にしたい。
それで締めくくることにしよう。

 


まえがき 「言葉の壊れ」を悔しがる
第1話 正常に「狂う」こと
第2話 励ますことを諦めない
第3話 「希待」という態度
第4話 「負の感情」の処理費用
第5話 「地域」で生きたいわけじゃない
第6話 「相模原事件」が壊したもの
第7話 「お国の役」に立たなかった人
第8話 責任には「層」がある
第9話 「ムード」に消される声
第10話 一線を守る言葉
第11話 「心の病」の「そもそも論」
第12話 「生きた心地」が削られる
第13話 「生きるに遠慮が要るものか」
第14話 「黙らせ合い」の連鎖を断つ
第15話 「評価されようと思うなよ」
第16話 「川の字に寝るって言うんだね」
第17話 言葉が「文学」になるとき
終話 言葉に救われる、ということ
あとがき 「まとまらない」を愛おしむ