性同一性障害ということばは誤り。「障害」ではない。
ジェンダーアイデンティと性自認と性同一性は同義。

そもそもこのことからしてわかっていない「知識人」が
多数いるのではないか。日本に。
「知識人」としたのは、政治家に対する皮肉だ。
特に自民党の一部。

この新書は、トランスジェンダーにとって、
この日本がいかに生きづらい国であるかを綴っている。

トランスジェンダーは人口の1%もいない、という。
出生時に割り当てられた性と、ジェンダーアイデンティティが異なる人。
従来はこれらの人々は「いないもの」にされていた。
それこそ「障害」「異常」とされていた。
しかし時代は変わり、少数派を尊重することが当たり前の世の中になってきた。

考えてみれば、以前は、そして今も、左利き、すら差別されてきた。
それは道具に代表されよう。
はさみ、スープをすくうお玉、自動改札機、、、
10%いる左利きですら不便な世の中。
様々な技術でようやく改善されつつある、まだその途上。

ましてや1%もいないトランスジェンダー。
「効率化」からすれば無視したくなる、というのも理解できなくもない。
しかし、
トランスジェンダーを認めないときの事例はいつも
「トイレはどうする」
「銭湯はどうする」
ばかり。
既に欧米では男女トイレを区別しない国も出ているという。
銭湯は、、今日日銭湯を日常的に利用する日本人がどれだけいるというのか。
問題のすりかえ。
些細なことを咎め、本質的なトランスジェンダーの生きづらさに向き合わない。

なんて偉そうなことを言うが、私もつい最近まで、
LGBTのうちT、トランスジェンダーは理解できない、と言っていた。
なぜ性転換手術(このことばもいまや使わないそうだ)をしてまで姓を換えるのか、と。
今はそれが誤った考えだとわかる。
中には好んで体にメスを入れる人もいるかもしれないが、
大半の人は、生きづらさから逃れるためにやむを得ずに手術を選んでいるのだ。
そもそも法律がそれを強いている。
生殖能力が無くならなければ戸籍上の性別を変えてはいけないと。
それは「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」
名称だけでもアウト。2003年成立時点ではやむを得ないとしても速やかに変更すべき
内容もだ。
要件は
一 十八歳以上であること。
二 現に婚姻をしていないこと。
三 現に未成年の子がいないこと。
四 生殖腺せんがないこと又は生殖腺の機能を永続的に欠く状態にあること。
五 その身体について他の性別に係る身体の性器に係る部分に近似する外観を備えていること。

この四が憲法違反であると最高裁の判決が2023/10に出た。

世の中は確実に変わってきている。
変わらないのは自民党の一部。
いや、もっといえば日本の官僚制度だろう。
明治維新で作られた薩長政権の考えは敗戦を経ても変わっていない
戸籍がその最たるもの。たかだか150年の歴史、変えればいいのだ。
廃止すればいいのだ。そのためならマイナンバー義務化も理解されよう。
・・・そもそもカードじゃないけどね、今の時代。

色々絡まる。
キックバックの安倍派を干すことで自民が割れれば、今の官僚制度も変わるのか?
トランスジェンダーなどマイノリティに目を向けた国になるのか。
いずれにしても多数派が少数派を切り捨て、効率化を求める時代ではないのだ。
それが通用しないことはこの30年で誰しもわかっているはず。
変えねば。変わらねば。

 

第1章 トランスジェンダーとは?
第2章 性別移行
第3章 差別
第4章 医療と健康
第5章 法律
第6章 フェミニズムと男性学