プレバトの俳句の先生、夏井いつきさんの新書、
ということで飛びついた。
俳優の奥田瑛二との共著? 
プレバトのように、奥田の俳句を樹さんが添削するのかな、
と読み始めると、全然違った。
タイトルにあるように、正岡子規の俳句、それも艶俳句、
つまり、遊里、遊女を詠んだ俳句について、3回にわたって対談をしている。

第一夜はプレバトが頭に合ってなんとなくなじめなかった。
が、二夜、三夜と読み進めるにつれて、
正岡子規の俳句の力も相まって、引き込まれた。
いやそれ以上に奥田の観察眼かな。
彼は俳優としてではなく、映画監督として、
子規の俳句を映像化していた。
彼が好む子規の句を、彼の解説を通してみると、
なんという世界観。ダンディズム。
いつきさんはいつきさんらしく、プラスαを楽しませてくれる解説。

俳句、やってみたいなあ。
17文字に世界を描く。

それにしても子規の句の漢字は難しい。
るびなしには読めない。
浅学を思い知る。

そもそも言葉も知らなかった。辻君(つじぎみ)。
夜鷹(よたか)と同義。こっちは知ってたけど。
傾城はレベルが違うね。

あ、タイトルの「よもだ」も知らない。
これは知らなくてもいい。松山の方言。
ふざけている、いいかげん、しょうがないねえというニュアンスをこめ。
そういえば日本橋にある「よもだそば」の語源もこれなんだ。

傾城の噛み砕きけり夏氷

ふきもせぬ風に落ちけり蝉のから

なんて痺れるねえ。

 


【はじめに】
「よもだ」という勲章  夏井いつき  

〈第一夜〉松山  
子規に艶俳句  
奥田的俳句観  
主観と客観  
俳句を楽しむ  
松山の色里  
欲望と風俗  

〈第二夜〉東京  
艶俳句の子規  
等身大に描く  
滲み出る運命  
子規と女性  
現実と妄想  
表現者の宿命  

〈第三夜〉道後  
観察者子規  
子規の写生  
監督的解釈  
時空間と感覚  
生きている季語  
子規の宇宙  
「よもだ」対談  

推し十句  

【おわりに】
子規のダンディズム  奥田瑛二