横浜の港湾を仕切るバリバリの自民党員である「ハマのドン」こと藤木幸夫さん91歳が、
自分が育てた菅首相(当時)が推進しようとする横浜市へのカジノ誘致に猛反対、
データアナリスト山中を立て市長選で菅の押す小此木を破り誘致撤退宣言をさせるまでのドキュメント。
テレビ朝日の著者がドキュメントを製作し、映画になり、こうして新書にもなった。

自民党を愛し、菅を支援しハマのドンが、なぜIR誘致に反対したか。
それは先人への思い。先人が文字通り血と汗を流して構築してきた港湾を、
多くの人の人生を狂わせる賭博場にしたくなかった。
賭博にハマり、家庭を壊し、子供が泣く、そういう目に合わせたくなかった。

それを自民党は、林文子前市長は経済効果を御旗に誘致を推し進める。
これに闘った。ドンは「私と菅の喧嘩」と言い切った。

・・・そうなんだよな。
今の自民党は、官僚は、金目のことばかり。
それも市民のことなんか考えちゃいない。
自分らの利権ばかり。天下り先ばかり。アメリカの言うなりばかり。
何が右翼だよ、だ。保守だよ、だ。

ドンも、今の自民党はおかしい、という。数の論理だけで何でも押し通す、という。
小泉あたりからそうなってきたのかな。
そのあと一度下野して安倍で復帰したときはそれが露骨になった。
まともな議論もせずに集団的自衛権などをガンガン通す。
学術会議のメンバーを説明もなく外す、、、

ちなみにこれは前回読んだ「ルポ大学崩壊」で、軍事研究をしろと圧力をかける国の姿勢で明らか。
学術会議が軍事研究をしないのがおもしろくないのだ。
軍事研究の必要性は私も感じる。だったら議論して堂々と戦えばいいのに、せこい連中はそれをしない。

というか、議論ができないのが今の議員。
偏差値エリート官僚は百歩譲って議論はしなくてもいい。意見を言う立場ではないから。
議員は違う。議論をするために選ばれた人たち。
それが昨今の世襲議員は自分の考えをいえない。原稿の棒読みばかり。
それに引き換えハマのドンは相当の読書家ということもあり、
常に自分の言葉で語る。
だから人を惹き付ける。
当たり前のことだ。
田中角栄さんが評価されたのはまさに自分の言葉を持っていたから
いまそういう人はいないのかな。政治家にはならないのかな。

というわけでこれは凄い本。
映画も見てみたいな。
「i新聞記者ドキュメント」や「カメジロー」「A」「教育と愛国」も。
マスゴミ、ばかりではないのだ。

それはそうと大阪IR誘致はどうなるのか。沈む夢島の補強も府が負担する、、
こういう変なことをやっている維新の会、これが野党一党になっていいのかね。
軌道修正してほしいね。

 

 


第一章 保守の大親分が反旗を翻す
第二章 無党派市民の怒りとドンの宣戦布告
第三章 藤木幸夫とは何者か?
第四章 そして、決戦へ
第五章 闘い終えて、映画化へ