読み応えのある本に出くわすと、幸せな気分になる。
得した、というか、また一つ知見を得た、というか。
しかしまあよくこれだけの内容を一冊の本にまとめたなあ、と、
本文を読み終えてあとがきを読めば、
「4年かかった」
と。
それだけの力作だったわけだ。
ずしんと心に響きました。

あらすじ、なんて書けないけど、
悩める人のカウンセリング、
その現場にいるような臨場感がある本。

実例がすごい。
カウンセラーである著者が罵倒されるシーンは圧巻。
もうお前は役に立たない!使えない!
そんな言葉に彼自身心が凍り付きそうになるが、
そこは心理士、気づきを得て、反撃、、ではないけれど、
相手の女性にひとこと伝え、そこからもう一度立て直す。

目次の各章のタイトルがそれぞれ「補助線」になっている。
学生時代に図形、幾何の問題を解くとき、
補助線が引ければ答えが見えてくる、というやつ。

こころが不安定になり、こたえがみえなくなったとき、
こんな補助線をひくと、前に進みますよ、
と。

けっして、成功本のように、
パワフルに問題を解決しよう、
というのではない。

補助線、ある意味比喩、をつかって、
心を解きほぐす。

なにせ人のこころは複雑。
ポジティブかネガティブか、単純なものではない。
ポジティブもネガティブも、なのだ。

すっきり切り捨てると大事なものまで捨ててしまう。
でももやもやしたままだと、こころが死んでしまう。
時間はない。
そんなとき、引き受けてくれる仲間がいるかいないかが大事。

私自身、60年生きてきた中で、
随所随所で悩みにぶち当たっている。
その都度違う対応をしている。
ひたすら悩んだり、人に頼ったり、転職したり。

場数は踏んできてるという実感を、
この本を読みながら持てたのは、なんか幸せ。

ぜひ多くの人に読んでほしい本だ。

 

まえがき 小舟と海鳴り
[1章]
生き方は複数である
処方箋と補助線
[2章]
心は複数である
馬とジョッキー
[3章]
人生は複数である
働くことと愛すること
焚火を囲んで、なかがきを
―なぜ心理士になったのか―
[4章]
つながりは複数である
シェアとナイショ
[5章]
つながりは物語になる
シェアとナイショII
[6章]
心の守り方は複数である
スッキリとモヤモヤ
[7章]
幸福は複数である
ポジティブとネガティブ、そして純粋と不純 「も」
あとがき 時間をかける
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