この新書の序にあるとおり、いま、民主主義の危機だ。

ポピュリズムが台頭し、専制政治に向かいつつある恐怖を感じる。

何が悪いのか、どうすればいいのか、それを整理する材料になるかとこの新書を手に取った。

 

民主主義の歴史が綴られている。

が、どうも頭に入ってこない。

ピンとくるものがない。

ミルの複数投票制が興味深かったが、単発。

どこかでハマるかと思っていたが、

かろうじて最終章の日本の民主主義でいくつか合点がいく程度。

田中角栄が小卒で総理になったというところに、

ある意味の民主主義の勝利を感じた程度。

・・今大卒、特に東大卒に問題意識を持っているからかも知らん。

そのまま読み終えてしまった。

 

2割強の得票で3分の2近くの議席を獲得できて、

党議拘束でトップが決めた法律に賛成して決まってしまう今の日本の議会をして

民主主義といえるのかははなはだ疑問。

教育など共通の問題意識を持つ同窓生が自分の理想を実現すべく政権与党に移って、

意見書を出したりしても、結局は与党案に賛成する現実。

ばかばかしくなる。

間接民主主義には無理がある。選択肢がありすぎる。

いっそ完全コンピュータ化で、一つ一つの議題を全国民が投票すれば、、

と思うが、そうなると、受けのいい政策ばかりが通る。

勉強して、先を見た、痛みを伴う政策は受け入れられない。

結果国民全体が疲弊する。

多数決は民主主義ではない。

だからと言ってミルのように専門家に二票与える基準もない。

 

自分の行動を強制的に制限されるのは嫌だが、

だからといって目の前に都合のいいことばかりやっていては未来はない。

 

一つ言えるのは、1億人以上を一つに束ねるのはもはや無理、ということ。

コロナ禍での国の対応のお粗末さは、1億2千万人の状況を国が把握できないから。

できっこないから。

よほど優秀な、感度のいい政府であればできるのかもしれないが、

今の政府はテストエリートと世襲議員ばかり。無理。

であれば、大前研一先生のおっしゃる道州制が望ましい。

単位を小さくして、そのエリアに適した政策を行うべきなのだ。

そのための憲法改正には大賛成だ。

 

話が大きくそれたが、民主主義を語るのはとても難しいということだ。

 

 

 

 

序 民主主義の危機 

第1章 民主主義の「誕生」 

第2章 ヨーロッパへの「継承」 

第3章 自由主義との「結合」 

第4章 民主主義の「実現」 

終章 日本の民主主義 

結び 民主主義の未来 

あとがき