2008年から8年間、第44代アメリカ大統領だったバラク・オバマ氏の回顧録。
1の上ということは、これと同等の本があと3冊あるのかな?あ、3があればさらに増えるか、、、
一冊500ページ以上の大著。
ずばり、面白い。
シンデレラボーイ的に一気に大統領に駆け上った状況が手に取るようにわかる。
自伝にありがちな生い立ちはさらっと触れただけで、
あっという間に彼の政治家人生の話になった。
弁護士同士の結婚後すぐ、州の上院議員に立候補。
彼の弁が立ち無事当選。
しかし、州レベルでは理想は実現できないと、
合衆国上院議員に立候補、当選。
直後、彼の発言は大統領候補として注目され始め、
いつしか本命のヒラリーを逆転し、初の黒人米大統領誕生。
大統領選はマケインとの対決。
そんなときにリーマンショックが襲い掛かる。
討論でマケインはまともに語れず、この段階で勝利が見える。
次期大統領に決まると、ブッシュの政策を支援。
大統領就任後も経済政策に追われる。
なんとか大恐慌を回避、アメリカ経済を救う。
イラク、アフガニスタンへの対応に追われる、、、
というところまでがこの本。
彼の大統領としての評価は意見が分かれるところで、
特に外交、国防面では否定的な意見も多いが、
少なくとも、リーマンショック、サブプライムショックに対するかじ取りは成功だといっていいだろう。
自身書いているが、評論家は「なくすべき銀行を生き残らせた、改革を遅らせた」
という批判に対して、考えるところがあるという。
しかし、それを実現するということはいわゆるハードランディング。
アメリカ経済、しいては世界経済に与える影響はとんでもないことになったろう。
日本は十分ダメージを受けたのが皮肉ではあるが。
そして国防、外交。
今回ブッシュはアフガニスタンからの撤退を表明した。
これはトランプの政策を追認するものともいえる。もはやアメリカは世界の警備をする体力はない。
そもそも先進国の体力は、発展途上国を搾取することで成り立っていたもので、
もはや許されないこと。世界の警備など、先進国の都合でできるものではない時代なのだ。
先進国といえばオリンピックはアメリカというよりヨーロッパが仕切っているようだ。
ぼったくり伯爵は笑ったが、搾取がベースにある体制は壊れていくしかない。
今回のコロナを契機に、全部のスポーツを集めたオリンピックという形式は廃止してもよいのではないか。
2019年の日本でのラグビーワールドカップは大成功だった。
個別スポーツ単位にやればいいのだ。
あるいは、どうしてもオリンピックの形をとりたいのであれば、
原点に返って、陸上と水泳だけのオリンピックにすればいい。
さらに、どうしても今年東京でやりたいのであれば、秋、10月にやればいい。
さすがにワクチンも広がっているだろうし、熱中症リスクも実質ゼロになる。
オバマ氏のアフガニスタンの記述を読んで、それまでの勢いが急になくなった気がしたことから、
つらつらと考えた。
下が楽しみだ。
はじめに
第1部 賭け
第2部 YES WE CAN
第3部 反逆者
<上巻の主な内容>
はじめに
第1部 賭け
1章 読書三昧の高校時代。大学卒業後は、地域の課題解決に向けて住民を連帯させていくコミュニティ・オーガナイザーに。
2章 ミシェルと出会い、結婚。格差を失くすため政界入りを決意。イリノイ州上院議員選に出馬。
3章 連邦下院議員選で落選。国民同士を結び付ける理想に燃え、連邦上院議員選に出馬。
4章 大統領選出馬。テッド・ケネディの言葉。
第2部 YES WE CAN
5章 2007年2月大統領選出馬宣言。予備選でのヒラリー・クリントンとの闘い。大口資金提供者ではなく、草の根の支持を集めていく。アイオワ州での勝利。
6章 黒人有権者の複雑な反応。親交のあるジェレマイア・ライト牧師の過激発言。選挙戦中に感じた人種の壁。
7章 スーパー・チューズデーの勝利。SNSの活用。ミシェルとともに、細かい言動まで批判され始める。予備選勝利。
8章 ヒラリーと和解。共和党大統領候補ジョン・マケイン、共和党副大統領候補サラ・ペイリンについて。アフガニスタン視察。
9章 サブプライムローン危機。財務長官ヘンリー・ポールソンとの対談。ブッシュ大統領、マケインと会談。
第3部 反逆者
10章 大統領選勝利。政権移行。ヒラリー・クリントンを国務長官へ抜擢、ロバート・ゲイツ国防長官の続投など異色のメンバーを集め、自身のバイアスを是正。
11章 リリー・レッドベター公正賃金法。金融危機対応。アメリカ・復興再投資法。共和党上院の議事妨害。
12章 金融機関へのストレステスト(健全性審査)。ウォール街トップたちの開き直り。自動車産業救済策。保守系メディアが存在感を増す。
13章 “世界の中のアメリカ”についての複眼的な視点。国家安全保障チーム内の世代間格差。イラク撤退、アフガン増派。軍病院で負傷兵を慰問。