向さん。
ラグビー関係者のインタビューをWEBに上げてくれる、貴重な情報源。
有難い存在。
彼がサンウルブズを書いた。
タイトルからして、発売日からして、サンウルブズを持ち上げる提灯記事的なものかと思って
読み始めたが、決してそうではなかった。

ずばり、今日の惨状、9連敗を予見していた。
いや、ほんとは今年は変わるはずだったのだろう。
ジェイミーが日本代表とサンウルブズとHCを兼ねて、TOP5を目指す体制を作る、
というところでこの本は終わっている。

が、それまでの2年、いや、まだエディがいた時から、
日本におけるスーパーラグビーがいばらの道の連続だったことを、
この本は語り続けている。

まずエディ。
私はエディの勝利を目的として合理的に突き進むその姿勢は大好きである。
そして有言実行、実績を残した。すばらしい。ファンにとってはありがたい存在だった。
しかし、選手にとってはそうではなかったらしい。

そもそもスーパーラグビー参加はエディが打ち出したもの。
日本選手の経験値を上げるにはスーパーラグビー参戦しかないと。
しかし、エディのもとでのスーパーラグビーチームに参加しようとする日本選手がいなかった。
エディが2015ワールドカップを前に退任を公表したのはそうした背景があったように思う。
公表したことで選手が、これで最後だと吹っ切れて、あの奇跡につながったのだ。
しかしそれほど過酷だった練習をもう続けることはできない、
ということは奇跡はもう起こらないということ。
選手たちのあのパフォーマンスは限界ぎりぎりだったのだ。
五郎丸のあのプレーは、練習あればこそだった。

エディが去り、日本協会は混乱、迷走を始めた。
ハメット、ティアティアがサンウルブズのHCを務めた。
当初あった海外遠征の環境は次第に改善されたが、
選手の疲労を考えてのメンバーの入れ替えは、結局チームプレーが成熟せず、
初年度1勝、2年目2勝がせいいっぱい。
満を持して登場したはずのジェイミーサンウルブズは、
ニュージーランド勢に善戦するものの、勝敗は最初から決まっている。
選手は世界の一流と身体を当てることはできても、
どうやっても勝てない負け犬になりつつある。
得点能力は低いまま、失点ばかり増えるサンウルブズ。

私が以前暴論したように、ツープラトンでチームを固めた方がよかったのではないか?
中途半端に入れ替えるから、連携が取れず、守備も攻撃も中途半端になる。

2015組はどうしているのだろう。サンウルブズを、日本代表を拒否しているのか?
もう2015の厳しい練習はできないのか。

2019は望めないのかな。あきらめの気持ちが日増しに高まる。
とにかく勝つならレッズ戦。
ここで勝てなきゃ全敗だ。そしてスーパーラグビーから退場だ。参加資格なし。
それは日本ラグビーの死も意味するが。

この本で元NEC村田が取り上げられていた。彼はエディ流を信じながら代表に選ばれず、
その後も努力したが、ジェイミーには一顧だにされない。
村田が移籍した日野がトップリーグに上がったことで、また彼の雄姿を見ることができるだろうか。

 

 


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