まずはラグビーワールドカップ日本大会の試合日程の決定、おめでとうございます。
我がイングランドは
9月22日(日)19:15トンガ     札幌
9月26日(水)19:45アメリカ    神戸
10月5日(土)17:00アルゼンチン  味スタ
10月12日(土)17:15フランス   日産
という厳しい日程になりました。
ティア1同士の対決になるアルゼンチン、フランス戦の前に、
中3日でトンガ、アメリカと対戦しなくてはなりません。
2年後に備え、準備を怠りなくしていきます。
2年後の今頃は、日産スタジアムでオールブラックスとの激戦を制し、
皆さんのインタビューを受けていることでしょう。
楽しみにしています。

さて、今日は日本代表の現状についてのお話でしたね。
昨年の今頃も論評させていただきましたが、
あのときはジェイミーがようやくHCについたばかりで、
6万の大観衆を前にしたウエールズ戦の善戦に、
日本代表の可能性を見出すことが出来ました。
あの時点から3年、しっかり準備をしていけば、
決勝トーナメントで我々イングランドと対戦する可能性はありました。
もちろん勝つのは私たちですが。

しかし、、、
つい2年前まで指導していたチームのことを、
しかもいまは違う指導者がいるチームのことをいうのは本意ではありませんが、
あえて言わせていただきます。
大会2年前で今の状態では、
日本代表は日本大会で1勝を挙げることすら困難でしょう。
恵まれた試合日程にもかかわらず、です。
日程以前の問題です。

あまり自分の時のことを引き合いに出すのは気が引けますが、
あえて申し上げます。
私の時の2年前は、レギュラーはほぼ確定していました。
もっといえば、ロンドンに連れて行く31人はほぼ決めていました。
そして11月のテストマッチを終えて、
キャプテンを廣瀬からリーチに代えるという決断をしたのでした。
福岡、藤田、山田の台頭でバックスの競争が厳しくなり、
廣瀬がレギュラーでなくなることがあきらかだったからです。
2年間は不動のバックロー、リーチのもとでチームを固める必要がありました。

今の日本代表はどうでしょう。
世界3位のワラビーズに対して、経験の乏しい姫野、松田、野口を先発させています。
リザーブにもキャップゼロの選手がいましたね。
確かに、怪我人が多いとは聞いています。
フッカー庭井、フライハーフ小野、バックスで山田、福岡、マレ・サウ。
彼らがいないということは台所事情に苦労したことは想像に難くありません。
しかし、No1がいなくても、No2は用意しておくべきです。
ワラビーズ戦のメンバーはNo2ではありませんでした。
キャップひとケタの急造ロック、ウイングを世界3位のワラビーズにぶつけるのは
大変失礼なことです。
少なくともこの一年、まともにチーム作りをしようとしてこなかったといわざるをえません。
怪我人は想定内なのです。

プレースタイルについてはあまり申し上げるつもりはありません。
時代とともに、相手とともに戦術を変えるのは当たり前のことです。

ただ、基本は変わりません。
セットプレーの強化は当たり前のことです。スクラムはいい線をいっているようですね。
しかしラインアウトは、堀江はスロワーとして厳しそうです。
そしてよく話題になるキッキングラグビーですが、これが完成できたら、
私たちイングランドも警戒しなくてはいけないものです。
しかし現状では蹴る目的が見えず、また、蹴った後の集散がなっていません。
これでは相手はプレゼントを受けるようなものです。どんどん蹴ってほしいです。
そして始めて2週間という出足の早いディフェンス。
ワラビーズの選手は簡単にかわして抜けていましたね。
一か八かのプレーをするべきではないと思います。

プレースタイルではなく、いかに勝つか、という点では、
日本代表は宿命があると思います。
私のころからトライ数は3,4が精いっぱいなのです。
これを増やせというのは大抵のことではありません。
日本代表が勝つためには、いかに相手にトライをさせず、
ディシプリンを保って、逆に反則を得て、
五郎丸のペナルティキックで点を重ねる、
というプレーが一番合っています。
それはいまも変わらないものだと思います。
それがいまは先に反則をするのが日本代表です。
これでは勝てません。
そしていいプレースキッカーも試合に出ていません。
五郎丸は老生している場合ではないのです。
彼の2年間は失敗だったかもしれませんが、
日本のラグビースタイルに彼はフィットしていると思います。
あ、ちょっと踏み込みすぎましたね。

フィットネスとストレングスも気になります。
立川はすっかりスマートないい男になってしまいました。
あれでは他国の選手は怖くありません。
2年前は恐ろしい存在でした。
私が導入を進めたスーパーラグビーが悪い方に向かってしまっているようです。
世界の速さ、強さをより多くの選手が体験、経験することは出来ましたが、
ハードスケジュールと移動のために、選手がやせ細ってしまいました。
怪我も多くなってしまいました。
私が見ていれば、もっとコントロールしたのですが、
今の首脳陣にはそれは難しかったようです。

今のままでは日本代表は、わざわざ負けるために試合をするようなものです。
アイランダーのトンガも、ワールドカップ出場を決め、チームは仕上がっています。
フランスもシックスネーションで手ごわい存在でした。
厳しい現実が待っているでしょう。

勝負は勝たねばなりません。
善戦をよしとしてはいけません。
負けグセをつけてはいけないのです。
ですがここ数年日本代表は、サンウルブズとあわせて、
ほとんど勝っていません。
テストマッチは来年はオールブラックスと我がイングランドですか
うーん。これは仕方ないでしょうね。我々が勝ちます。
攻めてサンウルブズで、五分に近い成績を上げること、
これは必須ではないでしょうか。
日本のファンの方の忍耐ももう限界でしょう。
誰が好き好んで負けるチームを応援しますか?
勝負は勝たなくては意味がありません。

質問をどうぞ。
どうすればワールドカップで日本代表が勝てるかですって?
直球で来ましたね。それはイングランドHCへの質問ではありませんよ。
私が言えるのは、日本代表HC時代に私がしてきたことだけです。
2年後にベストな状態になる選手30-40人を公平に選んで、鍛える。
ハードワークで31人に絞る。
そして2019年9月の味の素スタジアムのピッチに立つ15人の
キャップ数の総数が600を超える。
それだけです。
あ、だからといって均ちゃん(東芝・大野=98CAP)を呼べ、
と言っているわけではありませんよ(笑)。それは実力次第です。
今から間に合うかは別として、この方法以外に道はありません。
私の時のマフィのような贈り物があることを期待してはいけません
いま、正しく見るのです。選手のプレーを。
私のとき、そうさせてくれた元岩渕GMに感謝しています。
ジェイミーにもそういうスタッフがいることを祈ります。

どうもありがとう。