黒バラ
「今年も黒バラが咲いたね。」と、外に出た夫が教えてくれました。「今年は、花が次から次に咲いていきますよね。ミカンの花も咲いて、庭が良い香りですよ。」と、私が言いました。「この黒バラは、私が本当に小さい時父が植えたものなんです。このバラの横に立つと、父がバラの手入れをしていた時のことが、昨日のように思い出せるんです。父が一番好きなバラでもありましたからね。」と、私が続けました。父のバラの手入れを横で見ている時、本当に世界が平和だと思えたものです。「本当にこのバラのように暖かい色の思い出なんですよ。」と、私がまた言うと、どの季節でも暖かな思い出と一緒に居られるようにと、夫が油絵に描いてくれました。