「ロダンの『考える人』のオーラは、

興味深かったね。

作品に魂を込めることが、

すごく難しいことが分かったよ。」

と、夫が言いました。

 

 

「でもそれが『考える人』を、

『考える人』にしているんですね。」

と、私が答えました。

 

 

「で、今日は誰のオーラを観るんだい?」

と、夫が訊きました。

 

 

「ミケランジェロの『ピエタ』を、

観ましたよね。

でも、彼は最晩年にも

『ロンダニーニのピエタ』

造っていたんです。

その『ピエタ』のオーラを観てみますね。」

と、私が言いました。

 

 

 

「で、どうだったんだい?」

と、夫が訊きました。

 

 

「こんなオーラなんですよ。」

と、私が説明しました。

 

 

 

 

 

「黒のオーラの中に、

紫色の光が動いていくんです。

ちょうど、暗闇の中で

蛍が光るようにです。」

と、私が言いました。

 

 

「これって、どう解釈したらよいのかな?」

と、夫が訊きました。

 

 

「紫のオーラは、

高い精神性や目的意識を持ち、

神秘的な雰囲気とカリスマ性を持っています。

黒のオーラは、

混乱や葛藤を表します。

マイナスに働くと自分自身を傷つけたりします。」

と、私が話しました。

 

 

「ミケランジェロは84歳から、

この作品を造り始めました。

目も悪く、

腰も曲がった状態で造ったそうです。」

と、私が言いました。

 

 

「ミケランジェロの最後の作品になるんだね。

そんな健康状態でも、

この作品に最後まで取り組んだ彼は、

何を思っていたんだろうね?」

と、夫が言いました。

 

 

「オーラから見れば、

彼は自分が死んでいくのを自覚しながら、

このピエタに、

全身全霊を打ち込んでいたのでしょうね。

命が消えていく状況なのに、

彼の作品への情熱や精神が、

光り続けているんです。

非常に精神性が高い紫のオーラが、

発光しているのは

とても美しいですよ。」

と、私が言いました。

 

 

「芸術家に生まれたら、

死ぬ日までそんな精神でいられたら、

本当に幸せだよね。

どんなに苦しくても、

そんな作品を残したいものだね。」

と、夫が言いました。