「何を熱心に読んでいるんだい?」

と、夫がのぞき込みながら訊きました。

 

 

「くるねこ大和さんの『木戸番の番太郎3』が、

発売されたんです。

いつも楽しみにしているんです。」

と、私が言いました。

 

 

「君は本当にそういう本が好きだよね。」

と、夫が言いました。

 

 

「そうなんです。

毎日のオアシスみたいなものですね。

それで今回の話の中に、

江戸時代『名人仲蔵』と呼ばれた

歌舞伎役者『中村仲蔵』が出てくるんです。

彼のオーラを観たいと思います。」

と、私が言いました。

 

 

「『中村仲蔵』ってどんな人なんだい?

俺は歌舞伎に疎いから全く分からないんだよ。」

と、夫が言いました。

 

 

「初代中村仲蔵は1736年生まれで、

4歳の時に舞踏の師匠の養子になったんです。

『かな手本忠臣蔵』で『斧定九郎』を演じて評判になり、

『名人仲蔵』と呼ばれるまでになったそうです。

落語や講談でも『中村仲蔵』の話があります。

立志伝中の人物です。」

と、私が説明しました。

 

 

「それでどうだったんだい?」

と、夫が訊きました。

 

 

「それがすごく驚いたんです。

左下半分にグレーと紫が混ざった半円があって、

右上にオレンジの半円があるんです。

まるで二人の人物のオーラを、

いっぺんに見ているようでした。」

と、私が言いました。

 

 

「それって、どういうことなんだい?」

と、夫がまた尋ねました。

 

 

「たぶんですが、

役者って自分自身と

演じる役柄は全く違うでしょう。

それで二人のオーラのように

出るのだと思います。」

と、私が言いました。

 

 

「左下のグレーに紫が混じったオーラですが、

グレーは客観的に物事を眺められます。

理想に対して、

すごくストイックなんです。

紫のオーラは、

高い精神性とカリスマ性を持っています。」

と、私が続けました。

 

 

「右上のオレンジのオーラは、

創造力や魅力があり

エネルギッシュに行動していきます。」

と、私が説明しました。

 

 

「『カリスマ性を持ったストイックな人物』であり、

『目的に向かってエネルギッシュに行動していく人物』

でもあるんだね。」

と、夫が言いました。

 

 

「そのどちらも『名人仲蔵』なんです。

でも、もう一つ感じたことがあるんです。」

と、私が言いました。

 

 

「どんなことを感じたんだい?」

と、夫が訊きました。

 

 

「それは彼が、

とても寂しかったということです。

江戸時代ですから、

そういう境遇の子供は

たくさんいたと思います。

それでも彼はとても寂しかったのだと、

オーラを見て感じたのです。」

と、私が言いました。