FMをつけると
あらゆるところで、甘やかな愛のうた。
ブロンドの眠り姫のドレスを縫いながら、
ふと手が止まる。
そして、苦笑い。
ひとりのクリスマスの方が、
何もない誕生日よりも、哀しい──
誰かが云ったそれは、真実だと想う。
きらびやかな包装紙に、
真っ赤なリボンをかけられた街並み……
私はいつも、それを外側から眺めていた。
極論。
全ての子たちに、プレゼントを捧げ、
高いびきで眠りこけるサンタさんこそ……
一番、幸せな夢をみられるのかも? うふふ。
:
在学中に知り合った男性は、20歳年上のひとだった。
某ステーキハウスに、私はスタッフとして入り、
お客さまの前で、フランベするあなたに……
見とれた。
目が合うと、あなたは私を見つめ、
そして、ゆっくりと微笑み返してくれた。
一月の初旬、
高校の卒業式まで、もう、いくらもない頃だった。
二ヶ月も経たないうちに、
私たちは、一緒に暮らすようになった。
一人暮らしを始めた私の、ワンルームだったり、
あなたの部屋だったり。
その後、家財道具を捨て、親も友人も捨て、
私たちは知らない街へ町へと、渡り歩いた。
繋がれた手の強さやぬくもりだけが、
全てだった、あの頃──
冬が、また、巡ってきた。
……愕然とした。
調理師を恋人にすると、
この時期、独占できないことを知る。
さらに、12月22日が彼の誕生日だった。
ひとりでいることが、どうにも耐えられず、
ブティックや雑貨屋さんを冷やかし、
いくつものカフェで、時間を潰す。
全てが、実態のない、
光ものを見つめているような気分だった。
ひとりでいる女は、ものの見事に私だけ、だった。
五回目のその日──
私は、あなたの匂いのするパジャマを抱きしめながら、
真っ暗な部屋で、ひとり泣きじゃくった。
ふたりで育てたつもりの愛は、しなしなになっていた。
婚姻という形は、選択しなかったものの
私は、あなたの亡骸を抱く覚悟をしていた。
だけれど、もう……
どうにも、育てられない愛があることを、知る。
:
最後に、
彼の声を聴いたのは、何年前だったかしら?
昨日、彼は61歳になった。
あぁ、遥かなる気持ち……
愛しいひとと迎えられたのなら、
私も嬉しい。
お誕生日おめでとう