そう云われたのは私でなく、お人形でした……(苦笑)
長い展示が終了し、
鴇色の瞳の、和装のお人形が戻ってきました。
実は、会期が始まって直ぐに
‘是非お迎えしたい’とお申し出がありました。
ですけれど、私はお断りをしてしまいました。
展示を終えた時点で
再度、考えさせて下さい、と言葉を添えて……。
そのとき、お客さまが漏らされたお言葉でした。
:
再度のそのときが来て、
やはり、まだお渡しできない気持ちをお伝えしました。
考えてみれば、ひどいお話ですね……。
手放したくない気持ちは、制作人のエゴです。
さらに、薄汚い執着心など、自ら断ち切らなければなりません。
かなり、早い告知になりますけれど
私が敬愛する朗読の先生からお声がかかり、
来年の5月、お人形をお貸しすることになりました。
人形は脇役、と云えど、
あの先生と対になれるような存在感、畏怖、深み……
このお人形以外は考えられず、なのです。
お渡しできるのは、早くても来年の5月──
この方は、「いい女は簡単には落とせないのですね」と、
また笑って、許して下さるでしょうか……。