「今、救急車呼んだんさ」
2階にいる嫁にそう言ったとたん涙が溢れ出た
母の枕元で、姉が泣いている
その時、姉も私も母の終わりを無意識に、感じていた
元気のない母を大病院に連れていく為、主治医の先生に紹介状を
書いてもらおうと電話をした
母の容態を言うと
「脳梗塞が疑われるからすぐに救急車を呼びなさい」と言われた
救急車の中で救急隊のひとが呼びかけても母は反応しなかったけど
私が「母ちゃん、母ちゃん」と言うと「うんん」と返事をした
救急隊のひとがこっちを見てくださいと言っても母は、ぼーっとしてた
けど、私が「母ちゃん、母ちゃん」と言うと、目で私を捜した
病院で母の治療と検査が始まった
姉と二人で救急待合で1時間以上待った
「遅いなぁ」
「うん」
「・・・・・・・」
「・・・・・・・」
「姉ちゃん、餅まきって何時からやった?」
「・・・こんな時に何言うとん、あんたは」
「・・・・・・・」
「・・・・・・・」
「ちょっと一服してくるわ」
「・・・・かってにしな」
喫煙室で煙草に火を付ける
手がぶるぶると震えている
うつむいた目から涙がぽたぽたと膝に落ちた
こんな時に煙草かよ・・・姉ちゃんが呆れるのも無理ないか
でもさ、じっとしていられなくてさ
餅まきだって、母ちゃん連れて行こう、と思っとったのにさ
主治医の先生が言ったとおり、母は脳梗塞だった
母は一命をとりとめた
左半身に麻痺は残るが、言葉は普通にしゃべれている
昨日から、ゼリー食が摂れるようになった
リハビリも、ぼちぼちしてもらってる
高齢だし、認知症もあるから、リハビリの効果はあまり期待できない
そうだ
なんとか車椅子に乗れるようにまで、復活できるといいんだけど・・・
今度の入院は、ちょっと長期になりそうだ
母ちゃん、頑張って復活するんやで
リハビリ病院なんて行かんでも、私が家で看たるでな