住宅地の側を、ゆるいS字を描いて小さな川が流れて
いた。普段は水が全然無く、雨が降った時だけ水が
流れこんでいた。その為、子供達はこの川を 貧乏川
と呼び、遊び場のひとつにしていた。
町のはずれに小さな橋が架かっており、その先は川に
沿って県道まで続く雑木林になっていた。
カブトムシやクワガタもいるような、雑木林だったが
息子が小6の頃、この雑木林も伐採され、造成されて、
中学校が建設された。
このあたりが、狐山 と呼ばれていた名残りは、
もう何もなくなってしまった。![]()
県道から堤防を通り、町の中を抜けて行く中学生達で
朝夕、賑やかにはなったが、部活の学生達が下校した
後はひっそりと静まりかえり、夕闇が迫る頃には、運動
場から校舎へと続く通学路は、通る人も無く、川の土手
から伸びた草が、そよそよと風に揺れているだけだっ
た。
息子がこの中学校を卒業し、娘が入学した頃・・・・・・。
この通学路に
何かが出る
という噂が広がった。
ある夜・・・
・・・・・・・草木も眠る丑三つ時・・・・・・・
一台の車が町を走り抜け、町のはずれの小さな橋を
左に曲がった。
ヘッドライトが照らした・・・その先に・・・・通学路・・・・
誰かがいる。 女・・・女のひと・・・?![]()
白い服・・・長い髪・・・・・・・・・・だれ?・・・・・・・・・・・・・・
暗闇の中を、川の土手から伸びた草に見え隠れしなが
ら歩いている。ヘッドライトの明かりに振り向こうともし
ない。 この町に、こんな人は住んでいないはず。
翌日の朝・・・
登校する子供達が見たものは・・・・・
橋を曲がってから、草むらに沿って、血のあとが
ぽたぽたと続いていたそうな。
そして、その先に一匹の白い狐が息絶えていた
そうな。
そう、あの女のひとが、いたあたりに・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・ここは、まだ 狐山・・・・・・・・・・・・・・・・。