台湾に来ています。
お仕事と台湾の大学に通う娘に会うためです。
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台湾の大学に進学を決めたのは、彼女本人。
高校2年生の三者面談のとき、高校の先生から「どうして台湾なんですか?」と言われた。
「台湾の大学へ行くのなら、高校3年生では、今のクラスではダメです。就職クラスに移ることになります。」とも言った。
その時の娘の高校は、成績順のクラスで、1組から10組まであった。その10組の就職クラスに変わることになる。と言うのだ。
意味がわからず
『どうして台湾ではいけないのですか?』と、言った私。
答えることが出来なかった先生。
黙っている先生に、娘が言った。
「ママ。いいよ。私、10組で。」
進学校だった娘の高校では、日本の大学進学のたくさんの実績がほしかったのだと思う。
そんな高校側の理由がわかった娘は、そのときから、必死で中国語を勉強した。
高校が終わってから「中国語学校」に通い、毎晩、夜11時に帰ってきた。
そんな娘に言った。
『きついよね。大変だよね。でもね。人生において、必死で頑張らなければいけない時が必ずあるんだよ。そんときは、必死でやるんだよ。』
そのとき、いつも娘は
「うん。わかった。
それにね。夢を叶えるためだ。
がんばるよ。」と言って笑った。
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私は、1人で、3人の娘を育ててきた。
その姿を見ていた娘たちは
3人とも、私に経済的負担を少しでもかけまいと、よく働いてくれた。
萌もそうだった。
『中国語学校』に行くお金がいるだろうからと…
土日は、コンビニでバイトをしていた。(後で知ったことなんだけどね)
そうやって、頑張った1年間。
娘は、台湾の大学への進学が決まった。
そのとき、娘は言った。
「この1年間。きつかったし苦しかった。でも、ママは1度も 勉強しなさい とは言わなかったね。だからこそ、やれるだけやりきったよ!」
その顔は、いつの間にか、大人になった顔だった。
月曜日から金曜日は、高校から帰ってきて、1時間かけて、『中国語学校』へ行き、遅く帰ってきて、土日はバイト。
きつかったことだろう…
大変だったことだろう…
でも、私は、見て見ぬふりをした。
人生において、頑張らなければいけないときもあるのだ。必死で夢を追うときもあるのだ。そのときは、きつくて大変なのだ。
でも、やりきったとき、自分自身に自信がもてる。「やりきったよ!」と言える自分になれる。
そして、その自信は、それからの未来の娘を支える大きな『勇気』となる。
私は、そのことを、娘たちに伝えたかった。
・・・
彼女が、台湾の大学に合格をして、福岡空港から旅立つ日。
その瞬間、私は、彼女を抱きしめた。
思いっきり抱きしめた。
「よく頑張った。苦しかったけど大変だったけど、よく頑張った!」
私は、泣きながら彼女にそう言った。
娘も泣いていた。
そして、搭乗口へ旅立つ瞬間。
萌は私の方を見て…
『ママ!
もう、これからは、自分のためにお金を使って!
もう、これからは、自分の幸せをたくさん考えて!』
そう言って、旅立っていった。
その言葉を聞いて、涙が溢れてきて溢れてきてたまらなかった。
そのとき、私は…
娘を見て見ぬふりをしてきたけれど、心は見ていたことを、娘は知っていたのだなぁと思った。
ちゃんとわかっていてくれたんだなぁ…と思った。
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そんな台湾。
そんな娘がいる台湾。
大好きな台湾。
今日、会えたら、また娘を抱きしめよう。
力いっぱい抱きしめよう。