笹本遼賀33歳。
都内のレストランで働きながら、普通に真面目に生きてきたのに
胃の不調で受けた検査は予想外の悪性腫瘍だった
がんと診断されて
看病する弟の恭平、母親、祖母、高校の同級生だった看護師の矢田、レストランのバイト生の高那裕也達と、
残された日々を
悔いなく過ごす内容です。
恭平と遼賀の兄弟が15歳の時に父親と三人で登った岡山県にある1000メートルの那岐山で二人が父親から少し離れた隙に滑落して遭難してしまう過去
その時に書き残したそれぞれが書いた遺書がまだ保管されていた
19年後に
兄弟と、看護師の矢田と、レストランのバイト生の髙那との四人が登山することに
頂上に辿り着いた時の感情が
視界を遮るものが無く山並みが見渡せ
東に兵庫県堺の岡山県最高峰の後山
西に大山
遠くに瀬戸内海や小さな島々
地上に近い太陽の眩しさ
頂上に同じように登ったような錯覚に捉われるような
清々しい空気を感じて
思わず大きな深呼吸をしてしまいました。
看病される側の気持ちと看病する側の気持ちに
一貫した思いがあり
遼賀は真っ直ぐな生きかたで
誰にも優しい、見えない縁の下の支えになっていて
がん治療の苦しさと、心の重さが同じように増えていても、
支えてくれる人達の優しさが
その重さを少しでも軽くしているのかなと感じられました。
ずっと最初から最後まで読んでいてどんな場面でも涙腺が緩んで
歓喜溢れる内容でした。
オレンジ色の蜜柑は
亡くなったお父さんがプレゼントしてくれたオレンジ色の登山靴と同じで
温かく見護る神木のように感じられました。

