17歳の誕生日を迎えようとしていた直樹と妹の典子は、年に二回必ず従兄弟である17歳を前にした隆の家に遊びに行く。


そこは花の里と呼ばれている。


兄弟がバスに乗っていると、

狭い谷間が翔ぶるほどの花、田んぼには一面の蓮華、たんぽぽ、菜の花、浮島のように見える桜、木蓮、桃、椿、水木、山吹、雪柳

といった白、薄紅、薄紫に咲き乱れる花たちの

谷一面のおとぎの国みたいな花の里が描かれていて、

思わず想像するだけで頭の中が一面に広がる花でいっぱいになり、楽しい想像が膨らんできます。


そこで迎える隆は、あらゆる動物に懐かれてしまうとても優しい男の子に成長していた。

今年になってから毎晩悪夢にうなされていた

そして、突然人が変わったように豹変してしまう。

その後

隆の17歳の誕生日の前日に母親が突然自殺をする。


隆の家が

何代にも渡ってこの家の長男が17歳しか生きられないという

呪詛がかけられていた。





綺麗な里の景色とは正反対の

ホラーが隠されていて、

どう解決に導かれていくのか、怖さと比例して興味が湧き、

あっという間に読んでしまいました。


本の中のとても神秘的な言葉や表現がたくさんあり、

その中で色をとりあげると、

「暗闇の中で、夜の雨戸と白い障子に挟まれた穴を表す色は薄暮」


「畳の色は、暖かみを帯びた柳茶」


「黒地に白の模様は、鈍色(にびいろ)のように悲しく鮮やか」



想像もつかない色の物との組み合わせが、多種多様で、

表現の多さに感動してしまい、


なんとなく三島由紀夫さんとか、又吉直樹さんの本を読んでいる感覚がありました。




また守護神のような活躍をしていた老齢の雌猫、名前は三代という。

陰ながらの奮闘があり

「良く頑張った」と

褒めてあげたくなりました。


それに名前の由来が面白い。

(身体に縞模様が妙に真っ直ぐと、蛇行したのが交互になっている所があり、まるでの三世歌右衛門に由来する芝翫縞(しかんじま)のようだと、中村歌右衛門に献上された三代目なので、

三代と名付けた)

覚えられなくて書いてしまいました。




 

 

 


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