藤井賢一は42歳、大手製薬会社に勤めていたが
上司の不祥事の責任を取らされて、東京から山形の関連会社に出向させられる。
置き薬の販売の営業として地域の家を廻って
「置いて頂くだけで使った分だけの料金だけ頂きます」
という決まり文句が、なかなか慣れずに
上司から嫌味と、いじめのような扱いを受けていた。
置き薬は、使った分だけの料金の支払い、家に常備薬としてある、
という便利さはありがたいものです。
営業マンとしてやってこられる方は、営業トークの上手さで決まるなぁと、
実感しています。
賢一は、
認知症の母親、妻、娘が暮らす家にたまに帰ってもだんだんと嫌がられるようになっていく。
ある日、
警察から妻が出向前の会社の上司を殺したので逮捕した、と知らせの電話がかかってくる。
信じられない内容に、動転して夜行バスに乗って家に帰るも、
事件現場となった家には、入ることが出来ずに
妻の妹が協力してくれることになる。
事件は
不可解な闇が隠されていた。
賢一の家族の崩壊が決定打のような展開になっていて
全くの予期せぬことばかりが、
真実のように見えてくる。
妻、認知の母親、娘へと身代わりになって自首する家族の行動があり
家族としての愛情は、深い所でしっかりと繋がっていたんだなぁ、と感じられました。
事件の真相に近づくまで、犯人の怨念の深さに
最後まで分からなかったです。
とってもミステリーでした。