閉ざされた職場の中で、

会社の同僚の二谷と押尾さんが交互に語り、二人の共通の話題のように芦川さんという人物のことが、共通の話題になっている。


押尾さんの先輩である芦川さんは、仕事はできない、料理上手で、誰から見ても可愛い。

二谷と結婚前提で付き合っている。


二谷は、芦川さんの料理を吐きそうなくらい嫌がりながらも、

「おいしい」と、言って食べて、

必ず芦川さんが寝てしまってから、カップ麺を食べて、自分の中の胃の落ち着きを確認している。


二谷の行動は、

たとえ誰が作ろうが、食に対しての欲がない上に、食べるのが時間の無駄だと思い込んでいるので、

手っ取り早い、カップ麺や、出来合いのものが、身体の中の胃と心のバランスを保っているのかな、と感じます。


押尾さんと二谷は適当に付き合って、芦川さんは二谷と真剣に付き合っているので、三角関係が生じている。


芦川さんは身体が弱いという理由で、残業を絶対しない。会社の皆んなに暗黙の了解で通っている。

その残業のお礼として、職場に毎回手作りおやつを持参してくる。



芦川さんのようなマイペースの生き方は、自分では気づかない所で、自然に人をイライラさせてしまっているが

可愛いさが勝っている為に、

何んとなく得する人として、認められている、一般の常識のように描かれています。

こういったあざとさが、

押尾さんにとって

少しいじわるしたくなってくる要素なんだと思います。


芦川さんからの気持ちは語りにはないが、

想像するには、

上司のセクハラっぽい行動

(自分の飲みかけのペットポトルに、口つけられても、その後ニコニコと自然に飲んでみせる)

にも、ぐっとがまんし、笑顔で立ち向かうポリシーとか、

仕事ができない代わりに、得意なお菓子を作って持ってくることで、


立ち位置を確保している様子も、伝わってきます。



何かをおいしく食べるには、

上司に誘われての無理やりのごはんや、


仕事を代わってもらうお礼として、振る舞われた定番になった手作りお菓子や、


頼んでもいない身体に良いお手製の料理、

といった


強制されるのではなく

自分に合った食べ方であれば、食欲が生まれて、おいしいものの味が自然に出てくるかもと思いました。



会社のなかでは、

正社員、非正社員、アルバイト、雇用年数の違いがある中での

逆らえない暗黙の了解というもので、まかり通ったルールがあるようで、


何となく誰かしら理不尽に思っていても、流れには逆らえない


空気のような重苦しさが感じられます。



芦川さんの持参したおやつが、ゴミ箱から発見された事件があり、

半分濡れ衣のような形で、

押尾さんだけが、上司より疑われて悪者扱いされる。

その後

会社を辞めることになる。



今の時代に合った働き方が備わった職場が、見つかったら良いですね、

と、エールを送りたくなりました。