二人とも、朝の早起きが超苦手だから。
搭乗時間ギリギリまで寝ていられるよう。
最近は空港デートが定番になりつつある。
いつか一緒に温泉へ行きたいね、と。
顔を見るたびに、実現しない予定を立て。
だけど、年々それも。
難しくなっているような気がしていて。
それじゃぁ、空港で温泉に泊まろうよ。
と、提案をした。
ここ、地元空港内にある温泉施設は。
休憩室の他に、宿泊用客室も整っている。
いつもなら、出発ロビーの中を通り抜け。
数百メートル先にある、ホテルの部屋で。
窓の外の離着陸を眺めたりするのだけど。
今日は、ちょっと趣を変えて。
プチ温泉旅行気分を、味わえる…か?
フロントで渡される、館内着は。
厚手なのに、通気性が良く。
サラッとした肌触りで、着心地がいい。
男性用は、浅黄色の無地の作務衣。
女性だけが、薄紅梅色の色違いか。
または、数種類ある花柄の浴衣の。
いずれかを、選ばせてもらえる。
「 作務衣で、お願いします 」
チェックインを、済ませると。
「おまえ、なんで浴衣にしねぇんだよ」
浴場へ向かう階段の途中で、君が言った。
「 えっ、作務衣かわいーじゃん 」
「温泉は浴衣じゃなきゃ意味ねぇーだろ」
また君は、ワケのわからないことを言う。
何の意味だ?! 無視、無視。
「 じゃぁ、2 時間後に 『 食事処 』 で 」
「はぁ?おまえ2時間もどこ磨くんだよ」
「 それじゃ、3 時間後にする? 」
人をからかいたくなるのは私の悪い癖だ。
「 一時間後! …ったく、マジか… 」
と、いつもの口癖をつぶやきながら。
彼は右側の、のれんの奥へ消えて行った。
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