テーブルの上に、置かれている。
ペットボトルの、固いふたをひねる。
自分のよだれにも、気づかないほど。
思い切り、爆睡したせいか。
ほんの 15分、眠っていただけなのに。
わりと、すっきりしている。
常温に戻っている、軟水は。
乾いたのどを通り、食道を抜け。
全身に、一気にしみわたる感覚。
水分補給を喜んでいる体が、愛おしい。
彼は、さっきから同じ姿勢で動かない。
中嶋くん、眠っちゃったの?
これが、演技だとしたら。
大道芸人の、ブロンズ像もイケそうだよ。
君からの、お誘いを。
自分勝手に、ドタキャンしたくせに。
彼の都合も訊かずに、会いに行く!と。
メールをしたのが、10日前。
「今週は急だから、来週末に行こうかな」
会えないなら、それでもいいや。 って。
“ 何時に終わるか、わかんねぇーぞ ”
そんなことは、いつものことだから。
「一人遊びは得意だから、大丈夫」
忘れているくらいで、ちょうどいい。
「待っていたりしないから、安心して」
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『中島健人くんへ 敬意を表して』