二日前、仕事から帰宅するとA4判の封書が届いていた。
宛名は私。まだ開封されていない。
差出人を見ると、2ヶ月ちょっと前に応募したコスモス文学新人賞から。
発表は8月だと聞いていたので、それにしては早いし・・・と思いつつ、封を切った。
ご応募ありがとうございました、という全員に宛てたコピーの手紙と、各部門の受賞者一覧表。
そして受賞者を取り上げた朝日や毎日新聞の記事のコピーが同封されている。
なんだぁ~と思いつつ、(もしかしたら・・・と、ちょっと思ってしまったから^^;)新聞で紹介された受賞者達の経歴を読んでいた。
殆どの受賞者が文章講座などで数年の修行を積んだ、中には執筆歴30年という大ベテランの方もいらっしゃる。
高校教師、大学講師、企業の経営者が体験を元に書いた企業小説など、受賞者のバックグラウンドも様々なら、執筆歴も長く、思わずため息が出そうなくらい。
世の中、文章が書ける人は勿論のこと、人生豊かに過ごしてきて、書くべきこと、伝えたい事をそつなく書ける人達が、こんなに大勢いるのだ。
パソコン全盛期の今も手書きで原稿を書き続けていると聞いただけで、
「そんな根気がいることを・・・書き換えるのが大変! 漢字が出てこない!」
と感心してしまう。
日本へ戻り、6年目を迎えた今も、手書きでメモを取ろうとすると、違和感を覚える。日頃から書きなれていないからだ。
帰国後すぐは、手書きで育児日記を30分置きに記入していたので、(育児日記は30分単位で授乳、オムツ交換、離乳食など書き込めるタイプ) まだ、書き慣れていた。
それすら出来なくなった今は、殆ど手書きをする必要も無くなってしまっている。
あ~ちょっとした手紙程度しか日本語が書けないという不安から新聞投稿を始めた。子育ては毎日が発見だった。ほんの30秒でも目を離すと、危険にさらされる存在。何よりも、辛抱強く待つことが必要であると同時に、これまでになく自己管理もしっかりしなきゃいけなくなる。そうでないと、自分が寝込んだら、この子は・・・疲労感は必要とされているという子育ての喜びをもたらしてくれたし、何よりも忍耐力がついたと思う。
子育ての苦労と喜びと日々の新発見を素直にまとめ、新聞に投稿し、掲載されれば大喜びしてファイルに閉じ、頂いた図書カードで絵本を購入した。
甥っ子が居なくなってからは、(一つ屋根の下で暮らさなくなってから)
空気が抜けた風船のような状態だったといえる。
子育て中は絶対にパソコンや携帯は持たない、画面を見る時間、子供に目が向かないから・・・そう思ってきたが、その必要も無くなった。
職場にも慣れてきた頃と重なる。
ブログという媒体を通して スーパーで出会う、日々の人間模様を書いてみたいと始めたが、匿名が殆どの世の中のブログにあって、ここは特殊だと思う。
新聞投稿~掲載の場合、毎日新聞の「声」欄、「おんなの気持ち」などは匿名では掲載出来ない決まりとなっている。
私的な日記が「ブログ」というものの定義かもしれないが、私のブログは匿名ではない、と言う点では これまでの新聞投稿と何も変わらない。
自分が書く内容に責任を持つ、と言う意味で、良い事だと思うし、本を出版した後、思いもしない中傷に傷付いたこと数知れないが、批判も励ましも自分の為なのだから、しっかり受け止めようと思う。
私は逃げも隠れもしないし。
突然黙って本を出版してはいけないと思ったので、発売の数ヶ月前には本社に連絡を入れておいた。URLも。
今は、誰がここを覗いているとか、そういうことは一切 分からない。(これまでに感想を述べてくれた一部の人を除いては)
書き続ける目的って何だろう、と ふと思う時がある。
もうブログは閉じようか、と何度も思ったし、実際に何度かストップしてきた。
そんな時、文学新人賞の受賞者達の「受賞の喜びの声」だったり、この賞を励みに更に最高賞を目指して書き続けたい、と意欲を燃やす記事を繰り返し読む内に、
私も最初は育児を通して発見したことや喜びを誰かに文字で伝えたかったからじゃないか、と「初心」を思い出した。
毎日新聞地方版の随筆で初めての投稿で佳作を頂き、とても嬉しかったことを思い返す・・・。
あれだって、ほんの2年ほど前のことではないか?
穴が開くほど受賞者の声を読み、今回の受賞者一覧表を何の気なしに もう一度、見た。
なんと、Goodbook出版社から本を出版している二人の方の名前を発見! おめでとうございます。
そして・・・ほんの偶然 自分の名前も見つけました・・・・。
最高位の新人賞でも奨励賞でもないので 気付かなかった・・・。
随筆部門の佳作。
原稿用紙136枚の作品だった。
あ~良かった、命が繋がったっていう感覚。
プロの作家や詩人が集うgoodbookの出版社にあって、私だけ素人の単なるブロガーで、いいのかなぁ・・・という どこか引け目を感じずにはいられなかった。
今回、選外にならず 一番ほっとしているのは間違いなく私だと思う。
この一覧表に名前が掲載された方々を知っているわけではないのに、
何故か確信を持って「この中で、一番 救われたのは私」だと思ってしまう。
この作品は昨年6月から秋頃にかけて、ここに掲載してきたものだ。
実は、昨年12月発表のgoodbook出版社の公募に応募し、落選している。
これから始まるあらゆる物語の序章的 短編を集めたもので、ラストが尻切れトンボのままgoodbook出版社には送付してしまっていた。
落選後は放置状態だったものをプリントアウトし、更に書き直した。
ラストも新たに書き加えた。
自分では推敲したつもりでも、結果は佳作。
出版社の公募に落選して当然の出来だった訳だが、佳作ということは望みが全く無い訳ではないと前向きに捉えている。
これまでは勢いだけで さっさと思いつくまま書いてきた。
大御所の かがいみえこさんも 10年でしたっけ・・・推敲を重ね、「繭子と不思議な奥座敷」を今の形にしたと聞いている。
今回の入選作品は非売品の作品集に掲載されるらしい(任意)。
更に多くの人の目に触れるチャンスをいただけただけで、小さな作品も いつか呼吸を始めるかもしれない。
甥っ子と泣いたり笑ったりしていた数年前の私が、ここに辿り着くまでー
カメのように ゆっくりと、
しかし、
一歩一歩をかみ締めるように歩んできた。
これからもコツコツと創作を続けていきたいと思う。
追記: この発表は応募者のみで、報道あてなどの公表は11月号各方面送呈と同時で11月1日だそうです。
これまでAussie Mate ~オーストラリア出会い記を読んで下さって感謝致します。
