昨日は、NACK5スタジアム大宮に行って
2試合、取材してきました。
レポート書いておきます。




第89回全国高校サッカー選手権大会
3回戦 西武台—作陽
11年1月3日(月)/12:05キックオフ/埼玉県・NACK5スタジアム大宮/観客5280人/試合時間80分

西武台 2(1—0、1—0)0 作陽

得点者
(西)清水(前半22分)、清水(後半61分)

(ゲームのあらすじ)
地元埼玉の大声援を受け、立ち上がりから積極的にシュートを放つ西武台。前半22分にはエース⑭清水の華麗な個人技から先制点が生まれ、1-0で後半へ折り返す。後半に入ると作陽にセットプレーから何度もゴールに迫られるも、西武台が体を張って死守。すると後半21分に、再び⑭清水がヘディングシュートを突き刺し、2-0。最後は作陽の反撃を振り切り、ベスト8入りを決めた。


(見出し&本文)
エース清水の2発で西武台が快勝
作陽のセットプレーを防ぎ切る

 この試合の公式記録に興味深い数字がある。シュート数(西武台13、作陽6)、CK数(西武台2、作陽14)。ちなみに直接FKも作陽が西武台を圧倒している。西武台がカウンターで効率よくシュートチャンスを作っていたわけではない。西武台はボランチの⑧松本和樹と⑩末松光を軸に両サイドをワイドに使って、スピーディーな攻撃を存分に見せた。この数字が物語っているのは、西武台が相手のシュートや危険なパスに対し、体を投げ出してブロックしたことと、作陽のセットプレーがまったく実を結ばなかったということを表している。

 西武台の守屋保監督が「正直きつかった」というように、作陽のセットプレーは脅威だった。なぜこれほどまでにCKを与えてしまったかというと、作陽の左サイド⑰増田一輝とトップ下の⑩高瀬龍舞、この2人のドリブル突破と両者のホットラインによるワンツーに対応しきれず、CKに逃げざるを得なかったからだ。このセットプレーで前線に上がってきた⑤浅田有佑と⑨岩崎優に高さがあったため、ゴール前で何度もヒヤヒヤさせられていた。

 西武台はそれでも1点をもぎ取って後半に折り返すが、ここからさらなる重圧がのしかかる。作陽が後半4分に(25)山本健奨、7分に⑦須藤翔大と高さのある選手を次々投入してきた。しかも彼らは作陽特有のパスサッカーも心得ており、小気味よくパスを回す。特にトップ下に入った(25)山本は前線でタメを作れ、後列からの攻撃参加を促せる。西武台は前半と同じように何度もCKやFKを与えてしまい、結果的にGK⑫小澤章人の存在感がこれまで以上に際立った。

 この後半最初の時間帯でもし西武台が失点していたら、その後最悪のシナリオが待っていたかもしれない。しかしそれをさせなかったのが、エースの⑭清水慎太郎。この日の殊勲はやはりこの男だった。

 まず前半の1点目のシーンだが、⑭清水は必殺の攻撃パターンである、右からのアーリークロスをペナルティーエリアの外で受ける。ゴールを背にした難しい体勢だったが、すぐさま反転するとその勢いで右斜め前にボールを流す。ただボールが長すぎたため、DFは振り切れたがGKが飛び出してきた。そこで⑭清水は強引にスライディングシュートにいくと、わずかな差で先に触り、ゴールネットを揺らした。

 そしてキーポイントとなったのが、後半21分の同じく⑭清水の2点目。後半開始からは一方的に作陽のセットプレー攻撃に悩まされ、いつ失点してもおかしくない状況でのことだった。ゴールファーサイドから走り込んだ⑭清水は、⑪安部祐希の左クロスを、DFの背後から前に入って、こん身のヘディングシュート。これで2—0とした。

 この得点を契機に、作陽が攻撃のスタイルを変更。(25)山本、⑦須藤、⑨岩崎の頭にロングボールを合わせる、いわゆるパワープレーにきた。これで西武台のやることははっきりした。サイドからは上げさせず、後ろからほおりこんできたボールを跳ね返す。そのこぼれ球を拾えれば、自分たちの攻撃に移ることができた。こうなれば試合は一進一退。その後は持ち味のピッチをワイドに使った素早い攻撃を披露し、最後まで攻撃的なスタイルを変えずに戦い抜いた。

 敗れはしたが、作陽のドリブルとショートパスを組み合わせた攻撃は、かなり洗練されていた。堅守を誇る西武台を大いに慌てさせ、何度もゴールに迫った。しかし1試合を通して決定機を数えてみると、1回もなかったかもしれない。人数を掛けてサイドを崩すシーンがたびたび見受けられたが、肝心なときにエリア内で人数が足りなかった印象が強い。

 その点、西武台は⑭清水という1人で2人分の仕事ができるストライカーがいる。極論してしまうと、決める選手がいたかいないか、この差が勝敗を分けてしまったのかもしれない。


(監督・選手コメント)
西武台・守屋保監督
選手たちは頂点を目指しているが、私はその日その日の戦いを大切にし、選手たちと一緒に試合をやり続けていきたい。まだ選手たちは伸びていると思っている。清水については、ビックリしている。(結果を出して)ちゃんとファンサービスできる選手になっている。(J1・大宮に入団して)サッカーで飯を食っていくには一番大切なこと。また今日の清水は守備面で献身的なところを見せてくれた。それで中盤がボールを奪えるようになって、いい攻撃につながった。試合前は1点差のゲームになるといって、選手たちを送り出した。2-0になったときには、2回戦で腰の引けたゲームをして1点取られているので、気持ちで逃げないこと、3点目を取りに行く姿勢を強調した。相手にワンツーやドリブルでこられると、CKに逃げるしかなくなってしまう。正直それはきつかった。ただ2-0になって以降、相手がボールをほおりこんでくれたので、よかった。セットプレーで点を取られていたら、ズルズルいっていたかもしれない。セットプレーを防ぎきったことが勝利のポイントだった。

西武台・⑭清水慎太郎
(昨年度は作陽に敗れているが)それはあまり覚えてない。ただ、作陽には絶対に勝とうということを、自分たちの代で守屋先生(監督)にけっこういわれていたので、(勝てて)本当にうれしい。自分たちのカラーが前線からの守備なので、そこをおろそかにすると自分たちのリズムにならないので、守備を第一に考えていた。

作陽・野村雅之監督
得点力の差が出た試合だった。昨日は運よく、渋い試合をして勝たせていただいたが、今日は、ボールを動かせたのに負けたという、昨日とはまったく逆の展開だった。西武台の清水君については、ケアはしていたが、数少ないところで決めてくる力強さがある。本当にいい選手だなと思う。CKを14本蹴って、それで1点も取れないっていうのはちょっとね。十何本あれば普通に考えても最低1点、場合によっては2点入っていてもおかしくない。流れの中で取りきれず、セットプレーでも取れなければ得点というのは難しい。