モルモン教会では総大会という集会で幹部がイエスキリストから話すように指示を受けた話をしますが、実は事前に原稿をとある部署に提出し検閲を受けるとしたら驚くでしょうか。モルモン教会(末日聖徒イエス・キリスト教会)に通っていると、世界中どこへ行っても同じマニュアルを使い、同じような話を聞くことに気づきます。この驚異的な「一貫性」を維持しているのが、本部にある**「教会相関部(Correlation Department)」**です。一見、効率的で素晴らしい仕組みに見えますが、その実態は、私たちの信仰のあり方を根底から縛る「検閲と統制」のシステムでもあります。### 1. 教会相関部とは何か?1960年代から本格的に導入された「相関(コーリレーション)」というプロセスを運用する部署です。その役割は単純明快です。**「それまで神権会、扶助教会など教会の出版物、教案、説教、活動のすべてを、中央の指導部(十二使徒定員会)の意向と完全に一致させること」**です。### 2. 相関部の主な目的なぜ、これほどまでに徹底した管理が必要なのでしょうか。教会側は以下の目的を掲げています。* **教義の一貫性:** 世界中で教えのばらつきをなくし、誤った教義が広まるのを防ぐ。* **組織の簡素化:** 扶助協会や若い男性・女性などの補助組織が独自の予算や出版物を持つのを廃止し、すべてを中央の直轄に置く。* **ブランドの統一:** 「末日聖徒」としてのイメージを世界共通のものにする。総大会の前に幹部たちに原稿を提出させ、教会の公式教義からの逸脱がないか検閲する。### 3. 「検閲」がもたらす副作用しかし、このシステムには会員が知っておくべき「負の側面」があります。* **歴史の浄化(サニタイズ):**相関部は、会員にとって「信仰を損なう恐れがある」と判断した歴史的事実「黒人差別」「多妻結婚」などを、マニュアルから削除したり、表現を和らげたりしてきました。私たちが日曜日に学んでいるのは、ありのままの歴史ではなく、**「相関部によって洗浄された歴史」**です。そのため、ネット上には教会のイメージが悪くなるような歴史の真実が暴露され「反モルモン」「反モルモンサイト」などと呼ばれています。* **思考の画一化:**すべてが中央で決定されるため、地域ごとの特色や個人の自由な解釈、知的な探求が制限されます。マニュアル以外の資料を使うことは推奨されず、結果として「思考停止」に近い状態を生み出す原因にもなっています。**指導者の絶対視:**相関部を通った情報だけが「公式」とされるため、それ以外の意見や誠実な疑問は「背教」や「不信仰」と見なされやすくなります。### 4. 「神の言葉」か「組織の管理」か相関部の存在は、ある重要な問いを私たちに投げかけます。**私たちが日曜日に聞いている言葉は、神様からの直接の啓示でしょうか? それとも、事務方の官僚組織が「会員を管理するために最適だ」と判断して検閲した言葉でしょうか?**教会が「唯一真実な教会」としての姿を維持するために、多大なエネルギーを割いて情報のコントロールを行っているという事実は、真実を求める人にとって無視できないポイントです。今回は、その検閲によって「なかったこと」にされた、ある説教と、組織の知られざる体質についてお話しします。1984年10月の総大会。ロナルド・E・ポルマン長老(七十人第一定員会)は、会員の心に深く響く説教を行いました。しかし、その内容は相関部によって「組織の権威を弱める」と判断され、信じがたい工作が行われたのです。ポルマン長老が1984年の総大会で語り、後に教会相関部によって「消された」メッセージの核心部分をまとめました。彼が伝えたかったのは、**「組織(教会)」はあくまで「福音」を学ぶための補助的なツールであり、個人の霊的な自立こそが目的である**という非常に自由で精神的な内容でした。---### ポルマン長老の「検閲前」の重要メッセージ特に、組織の統制を揺るがすと判断されたのは以下の3つのポイントです。#### 1. 福音(真理)と教会(組織)の明確な区別ポルマン長老は、多くの会員が混同しがちな「キリストの教え」と「教会の運営」を切り離して考えるよう促しました。> 「福音(キリストの教え)は永遠で不変ですが、教会組織は時代や状況、会員のニーズに合わせて調整されるべき一時的なものです。」> 「私たちは、**『福音』という永遠の目的と、『教会』というそれを達成するための手段**を混同してはなりません。」#### 2. 組織への「依存」からの脱却ここが最も相関部を刺激した部分です。彼は、信仰が深まるほど、教会のルールや管理は不要になっていくと説きました。> 「個人の霊性が成長し、福音の原則を自らの内に確立するにつれて、**教会組織への依存度は低くなっていくのが自然です。**」> 「十分に成長した聖徒にとって、教会のプログラムや管理は、もはや必要不可欠な支えではなくなります。」#### 3. 個人の啓示の優先順位教会のリーダーの指示よりも、神と個人の直接のつながりを重視しました。> 「時には、個人の啓示が教会の一般的な手順やルールと異なる、あるいはそれを超えることがあるかもしれません。それは、個人の自由と責任の範囲内において尊重されるべきものです。」---### なぜこれが「危険」とされたのか?相関部にとって、これらの言葉は**「会員が教会(組織)のコントロールから離れてしまう」**ことを意味しました。* **「依存度が低くなる」**と言われてしまうと、教会は会員を管理できなくなります。* **「組織は手段に過ぎない」**と言われてしまうと、組織への絶対的な忠誠心や「什分の一(献金)」の重要性が薄れる恐れがあります。### 修正後の書き換え例公式ビデオ(撮り直し版)では、ポルマン長老は正反対のことを言わされています。* **修正前:** 「組織への依存度は**低くなる**」* **修正後:** 「組織への忠実さは**ますます深まる**」* **前代未聞の偽造:** 公式記録を残す際、教会はポルマン長老を誰もいないタバナクルに呼び戻し、**修正された原稿**で話し直させ、それをビデオに撮りました。* **徹底した隠蔽:** 映像には、あたかも聴衆がいるかのように「咳払いの音」や「ページをめくる音」まで後から合成されました。「神と直接つながろう」という希望のメッセージは、組織を維持するための「従順」を強いる言葉へと書き換えられたのです。### 2. 氷山の一角:繰り返される言論統制ポルマン長老の件は、特殊な事例ではありません。相関部のフィルターは、多くの知識人や指導者の口を封じてきました。* **アブラハム・ギレアディの冤罪破門:**イザヤ書の専門家であった彼は、その研究内容が「公式解釈と異なる」として1993年に破門されました。後に教会側は「間違いはなかった」と認め、彼は復帰しましたが、神の導きであるはずの判断が「事務的な検閲ミス」で左右された事実は消えません。* **B.H.ロバーツの沈黙:**教会の歴史家であり十二使徒でもあった彼は、1920年代に『ブック・オブ・モルモン』の歴史的矛盾を詳細に調査し報告しました。しかし、指導部はその報告書を黙殺。真実よりも「組織の体面」を守ることを選んだのです。### 3. 私たちが学んでいるのは「加工された製品」か教会相関部という組織を知ると、一つの疑問が浮かび上がります。**「日曜日のマニュアルや総大会の言葉は、神の純粋な啓示なのか。それとも、組織にとって都合良く加工された『製品』なのか」**ポルマン長老のビデオ改ざんが示すのは、教会が「真実」よりも「統制」を優先するという姿勢です。もし、あなたが今、教会の教えに違和感を抱いているのなら、それはあなたの霊性が低いからではありません。むしろ、組織によって塗り固められた「違和感の正体」に、あなたの心が気づき始めているからではないでしょうか。私がまだ熱心にモルモン教会に通っていた時は、預言者がひざまづいていのり神が啓示を与えているのだと信じていました。しかし実際には総大会で話す原稿すら相関部が検閲し、教義に沿わないと判断すると無観客のホールで撮り直すという非公開式公開処刑が行われました。