【複製】「怖い絵展」の一番怖い絵 | 迷えるオッサンの老惨禄

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チェンマイ18年の日誌を中心にやってきましたが、2021年9月帰国、タイトルを変更したいました。

「怖い絵展」の一番怖い絵
 
 
●7年前の元気な頃の記事である。
 
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昨日旧友に誘われ、上野公園の梅川亭で鰻を馳走になった。
 
12時公園駅待ち合わせだったが、足元不如意のため自宅そばのバス停より早めに出て11時に公園下に着いた。上野は芸術の秋らしくゴッホや北斎・運慶その他の美術展をやっているようだったが、目についたのはこの「怖い絵展」のポスターであった。
 
「怖い絵展」と言えば開催ひと月前の9月半ばからテレビで話題になったようで、その関係で当ブログ「セザンヌ殺人と首吊りの家」にアクセスが急増したことがあったことを思い出す。
 
 
 
 
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本日は寒いとの予報であったが絶好の秋日和で、
 
銀杏並木も色づき鰻を食った後「怖い絵展」でも寄ってみようかと
 
上野の森美術館まで視察に行ってみることにした。
 
 
 
 
 
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.しかし、美術館前にはご覧のように長蛇の大行列!!!。
 
入口看板には「最低100分待ち」と書いてあるではないか!!!
 
 
 
 
 
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■この行列いったいどこまであるんだろうと見ると、
 
前のグラウンドを一周して34キロ先までビッシリ・・・
 
こりゃあかん2時間並んで入ったとしても押し合いへし合いで
 
ゆっくり鑑賞なんぞ無理だろうと入るのはあきらめた。
 
 
 
 
 
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■ちなみにこれはネットから拝借した会場の様子だが・・・人・人・人・・・とても芸術鑑賞どころじゃない。
 
モナリザとかミロのビーナスならわからんでもないが、芸術とは無縁な怖いもの見たさの猟奇的作品が中心となっている。
 
しかもセザンヌなど一部を除けば大半が無名画家であるが、そのセザンヌにしても無名時代の初期作品で、興味本位に描いた「殺人」なのである。
 
 
 
 
しかし芸術はともかく怖いものは見たいのが人間の本性ゆえ、この怖い絵展のポスターにもなってる「レディ・ジェーン・グレイの処刑」について公式パクリ解説付きの特別公開をいたしましょう。
 
 
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イングランド歴代女王と言えばメアリ1世、エリザベス1世、メアリ2世、アン、ビクトリア、エリザベス2世(現女王)の6人とされているが、正確にはもう一人いる。
 
1554年、メアリ1世より先に即位し、イングランド最初の女王を宣言したレディ・ジェーン・グレイである。
 
ただし、王座に座ったのは9日間、反逆罪でロンドン塔に幽閉され、その半年後にはメアリ1世により処刑されてしまう。そのため9日間の女王」とも呼ばれるが、まだ16歳と4ヶ月、花の咲き始めたばかりの可憐な少女であった。
 
以来ジェーン・グレイの処刑シーンは数多く描かれて来たが・・・処刑から300年後、フランス人画家ドラローシュが異国の歴史画として描いたこの絵が、一番の人気作品となっている。ロンドン留学中の夏目漱石も魅了され、小説「倫敦塔」にも書かれたことは周知の通りである。
 
絵は極めて演劇的な、計算されつくした画面構成で描かれ・・・左に巨大な円柱があり、宮殿の一間とおぼしき場所で処刑が行われようとしている。
 
その円柱にすがり付き背中を見せて泣く侍女と、失神しかける侍女。後者の膝に置かれたマントと宝石類は、直前までジェーンが身に着けていたものだが、斬首の際、邪魔になるので脱がねばならなかった。
 
うら若き元女王は真新しい結婚指輪だけを嵌め、サテンの純白ドレスは花嫁衣裳のようでもあり、自己の潔白を証明するためのようでもある。波打つ豊かな髪は滝のように肩へと流され、斬首しやすいようにドレスの襟元は大きく開けられている。
 
目隠しされたため、首をおく断頭台のありかがわからず手探りするのを、中年の司祭が包み込むように導こうとしている。断頭台には鉄輪が嵌められており、動かないように鎖で床に固定されている。
 
ジェーンの身分を考慮した房付きの豪華なクッションが足元にあり、ここに腹這いとなって首を断頭台上に差し出すのである。床には黒い布が敷かれ、その上に血を吸うための藁が撒いてある。
 
そして右手には大斧を持った屈強な処刑執行人が彼女を見下ろしている。
 
若々しく清楚なこの白い肌の少女は、一瞬後には血まみれの首なし死体となって、長々と横たわっているのだ。
 
そこまで想像させて、この残酷な絵は美しく旋律的である。
 
                
(主に中野京子「怖い泣く女・編」参照
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ちゃんちゃん